国は「世界と比較して遜色がない資源管理システムの導入」を目指しています。科学的根拠に基づく資源管理を行えば、手遅れになる前であれば資源は回復します。しかしながら、現状では水産資源管理に関する正しい情報が十分に使われていません。
全国の漁業・水産関係者の声
筆者には全国から応援の声が届いています。全国の現場を回っているわけではないので、漁業者の方々からの情報は大変参考になっています。また「大学とか研究者の世界では、漁業者の協力が得られなくなれば研究できなくなる現実がある。だから大学では乱獲以外の原因を必死に探して発表する」といった声は誤った情報を発信してしまう問題の本質と考えられます。
これからの社会を背負っていく学生たちからも「今まで習っていたことが正しくなかったことに気づきました」という声をたくさんいただいています。マスコミの皆さんからも、これまでの魚の資源管理に関する情報は何だったのだろうかという声を何度もいただいています。
筆者は、北欧を主体とする海外の現場を、パスポートのページを増刷してスタンプを押すだけ回ってきました。その経験は買付から資源管理へと変わって行きました。気づいてみると買付先の資源管理への関心は日本人と比較にならないほど高いことがわかりました。
彼らは日本が陥ってしまっている資源管理制度の不備による水産業への悪影響を過去に経験しています。科学的根拠に基づく漁獲枠(TAC)や個別割当制度(IQ、ITQ、IVQなど)が機能することによって起きる成功を知っていてそれは今では「常識」になっています。一方で国別のTAC設定については、各国の国益が絡むために妥協が難しく、北欧ではサバ、ニシンなどをはじめ科学機関が推奨する数量内で合意できておらず、国際的な水産エコラベルであるMSC認証が停止しているという厳しい現実もあります。
しかしながら、それは資源管理制度の不備で、大きくなる前の魚まで獲ってしまう成長乱獲が常態化してしまっている日本の漁業とは全くレベルが異なります。決して価値が低い食用にならないような小さな魚まで獲ってしまうことはありません。なぜならそれは自分で自分の首を絞めてしまうことだということを「教育」により理解されているからです。
筆者は発信を通じて一人でも多くの方が「魚が減っていく本当の理由=水産資源管理制度の不備」を理解し、何をどうすれば良いかに気づいていただければと願っています。
