一方で尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は前例を踏襲せず、3度も挙行した。就任初年の22年は三軍の本部がある桂龍台で行なったが、23年と24年はソウル市内で大規模な軍事パレード(注:大統領が参加するソウル空港での記念式典後に開催)を行った。
そして、今年10月1日に李在明大統領就任後初めての閲兵式が桂龍台で開かれた。しかし、その規模は将兵900人・装備100台ほどと小さいものだった。理由について韓国メディアは、尹政権での戒厳宣布の余波を受けて閲兵式の準備どころではなかったことと、尹政権時の市中パレードへの批判が強かったためと報じている。
日韓関係のバロメーター? 国慶節レセプション
韓国で独立記念日に準ずる日は8月15日の光復節だが、建国を記念する日は別にある。それが10月3日の開天節だ。
韓国の国慶日を定めた法律で、三・一節(3月1日)や制憲節(7月17日)、光復節(8月15日)、ハングルの日(10月9日)とともに定められている。ちなみに、憲法記念日である制憲節は2008年に祝日でなくなったため、最も知名度が低い。
開天節は文字どおり「天が開かれた日」で、朝鮮民族の始祖である檀君(ダンクン)が古朝鮮を開闢した日を記念する。北朝鮮が朝鮮労働党による建国を記念していることと対照的だ。
そして、日本でも開天節に関連する式典が行われている。東京に所在する韓国大使館が毎年10月3日前後に「国慶日・国軍の日レセプション」を開催し、多くの自衛官も出席する。
筆者も20年近く出席しているのだが、このレセプションでは日韓関係の現在地を肌で感じることができる。李明博大統領の竹島訪問(12年8月)、朴槿恵大統領の中国・抗日戦争勝利70周年記念行事への参加(15年9月)の年は、自衛官の参加が大幅に減った。そして、韓国海軍による海自哨戒機へのレーザー照射事件(18年12月)を受けて、防衛省・自衛隊はレセプションを事実上ボイコットして、自衛官の参加はほぼゼロになった。
このような経緯があるレセプションだが、今年10月2日の式典には岩屋毅外務大臣、中谷元防衛大臣など参加したほか、多くの自衛官や関係者がつめかけて大盛況だった。日韓関係は現在、良好に推移しているようだ。
