2025年9月29日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、ウォルター・ラッセル・ミードの論説を掲げ、トランプ外交は非伝統的やり方で多くを実現しているが、見出しを取るだけでなく物事を進展させる必要があると論じている。
過去1週間、ウクライナとガザを巡る問題で、史上最も非伝統的な米国大統領は、常に世界のトップニュースを飾る。ガザでは、トランプは西岸をイスラエルに併合させないとアラブ首脳に誓約した。この発言は、困難な停戦対話に新たな一幕を開き和平に向けた道筋を作った。
ウクライナでは、トランプは反ロ姿勢を強化しウクライナを勇気づけ欧州に挑戦した。欧州に対ロ制裁強化を求め、ウクライナに強力な米国製武器を供与し、ロシア奥地攻撃への制限除去を示唆した。
ガザとウクライナ双方の議論の枠組みが変わり、トランプが支配的地位にあることが強調された。そのためにトランプは何もコミットせず何のコストも負わなかった。
彼は、イスラエルを強く支持する一方、ネタニヤフ首相にパレスチナ領土併合をやめさせ、カタール首相に主権侵犯を謝罪するよう求めた。これは、彼の力と柔軟性を示す。
トランプはまた、新和平プランを提示した。数千年におよぶ中東紛争解決は無理にせよ、彼が他のどの首脳よりもガザ戦争を解決に近付けたのは事実だ。湾岸アラブ諸国は安定と経済発展を、イスラエルは平和を望んでいる。トランプは双方がこの希望に近づく枠組創設に最善の努力をしている。
ウクライナとロシアの間を揺れ動くトランプは、窮地から逃れる魔術師的能力がある。プーチンに手を差し伸べるトランプの対ロ政策は、オバマのリセットやバイデンの棚上げと同様失敗した。米国の融和努力にロシアが侮辱で答えたので、トランプは新たな対応が必要だった。
彼は立場をウクライナ寄りに変えたが、ポーランド首相など欧州関係者が気付いたように、これは欧州にお鉢を回すものだった。もし欧州がトランプの要求(ロシアの石油とガスを購入する印・中に懲罰的な高関税をかける等)に応じなければ、トランプは欧州のせいにして手を引ける。トランプは何のコストも払わない。
