昨季はWSの中継権を持つフジテレビが、他局がナイターで日本シリーズを中継している時間帯にもWSのダイジェスト版を放送したことで、日本野球機構(NPB)がフジテレビの日本シリーズの取材パスを没収する騒ぎに発展したが、今季は「午前」と「夜」で棲み分けはできた。
それでも、阪神、ソフトバンクの地元では、日本シリーズが高視聴率をマークしたものの、日本全体としては今季もドジャースが日本シリーズを圧倒した格好だ。11月3日付のスポーツ紙も、普段は“巨人推し”のスポーツ報知や“阪神推し”のデイリースポーツも含め、一面はドジャースが独占した。一般紙の扱いも破格だった。
一般紙の夕刊にスポーツ面が充実していたころは、日米の時差を利用し、夕刊でメジャー関連、朝刊はプロ野球の記事を掲載するという流れがあったが、近年は発行部数の減少に伴って夕刊が存在感をなくし、一般紙も朝刊でメジャー関連の記事を大きく扱うようになった。駅の売店やコンビニでの即売で勝負するスポーツ紙においても、大谷選手を中心にドジャース、メジャーの関連記事が一面を占める傾向が強まっている。
今後も〝流出〟するスター選手
ドジャースはメジャーの中でも屈指の豊富な資金力でスター選手をそろえ、日本の3選手は来季以降もプレーする。ドジャースがプレーオフに進出すれば、日本でも高い注目を維持し続けるだろう。
そして、日本球界からの選手の流出は今後も続く。
11月1日には、日本球界からメジャー移籍を目指す際のポスティングシステムの申請がスタートした。
すでに巨人の岡本和真選手は球団から移籍交渉を容認されたことを会見で明らかにしており、ヤクルトの村上宗隆選手もメジャー挑戦が確実視される。西武からメジャー挑戦を希望する高橋光成投手、今井達也投手は近く、球団の話し合いが設けられる予定だ。
今オフの移籍は見送られたものの、阪神のエース、才木浩人投手らもメジャー移籍を目指している。球界関係者に取材をすると、これまでに表面化していない選手の中にも、将来的なメジャー移籍の意向を持っていることがわかった。
報道によれば、2025年開幕時のメジャー選手の平均年俸は516万ドル(25年4月時点のレートで約7億6900万円)と、5000万円に達しない日本球界とは雲泥の差がある。かつては、レベルの高いメジャーで挑戦したいという夢や目標を掲げる選手が多かったが、近年は、日本選手にとっても、メジャー移籍は、より高額な報酬を受け取ることができるビジネス面からも当然の流れとなってきている。
日本のトップ選手がプレーオフに出場することで、野球ファンの熱視線も海の向こうへ注がれる循環が止まらなくなっている。
