2025年12月5日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年11月6日

中山間地を守る技術と今後

 日本の中山間地は国土の約6割、農地の約4割を占め、そこでの営農を継続することは国土保全のためにも意義が大きい。特に長期的な食料安全保障の重要性から、稲作を農地の6割を占める平地だけの栽培では不十分で、中山間地での栽培も必須になる。

 労働力不足の中、水稲栽培を継続するには省力栽培が避けて通れず、節水型乾田直播とコントラクターはコメの安定生産の重要な柱になる可能性を秘めている。

 異常気象が頻発し、干ばつなどが全国のどこかで発生している状況で、その影響を最低限にする節水型乾田直播の進展に期待したい。また、コントラクターサービスが普及し、体力や農機の新規更新に不安のある高齢の農家でも農業が続けられることは、極めて健全な方向と言えるだろう。

 柏原さんが推奨するのは、地域の農家が協力しあう農業だ。楪園芸の挑戦は今後の中山間地農業に一つの方向性を示してくれるのではないだろうか。

 中山間地の未来を支えるためには、現場での新技術導入と政策の両輪が欠かせない。地域の声を反映し、平地だけでなく、中山間地に目を向けた政府のさらなる支援策が今こそ求められている。中山間地農業のモデルとして楪園芸の今後の活躍に期待したい。

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