2025年12月5日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年9月26日

 「最近、街から花屋が減った」――。そんな声を耳にすることが増えている。かつて冠婚葬祭や贈答用として花は日本人にとって身近な存在だった。しかし、花屋の数が2000年から減少を続け、切り花の購入量がそのころと比べ65%にまで減少した。

「まちの花屋さん」はなくなってしまうのか?(筆者提供、写真は一部加工してあります)

 花生産現場は猛暑とコスト高、消費現場は物価高で苦境に立たされており、今やその状況は大きく揺らいでいるように見える。実際はどうなのか?その生産と消費の現場から報告したい。

農家を直撃する猛暑とコスト高

 まず、切り花消費の傾向を見ていこう。兵庫県立農業試験場淡路分場花き担当研究員だった宇田明氏によると、切り花の購入量は2000年から長期的に減少傾向である。

 輸入量は増えているものの、国産の切り花は半分近くになり、輸入花を加えても2024年は2000年の65%ほどになっている。農林水産省報告書によると、17年の国内の1世帯あたりの切り花の年間購入金額は、97年のピーク時の67%に減少した

 二人以上世帯の切り花購入本数も単価の上昇と呼応するかのように21年から下がり続けている(「JAcom」2025年7月宇田氏コラム)。 

 実際に、生産現場では、近年の資材高騰と夏の記録的猛暑が花き農家を直撃している。以前コメ生産の資機材高騰が農家経営を圧迫しているとの問題を提起したが、花農家も例外ではない。


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