「空中の村」の構造(アトラクション)を紹介しよう。
まず「ぐねぐね橋」と呼ぶネット上の通路を歩いてたどり着く最初のエリアには、4本の大木の上につくられたデッキがある。テーブルとイスが設えてあり、オーガニック・コーヒーやルイボスティと熱湯が用意されていて自由に飲める。また数種類のタルトやクッキー、そして冷蔵庫に冷えた飲み物(有料)も備えている。
ここで景色を楽しみながらお茶やスイーツを楽しめるわけだ。いわばセルフの樹上カフェ。スイーツは、フランスの伝統的なお菓子のレシピによって十津川村のお店で作ってもらっているそうだ。
次の読書エリアには、絵本や写真集などが用意されており、ネットの上にはぬいぐるみや木の卵もある。ここで寝転がって読書や、ぬいぐるみと戯れられる。もちろん空を見上げてのんびりしたり居眠りしたりしてもよい。
そして鳥籠エリア。ここは大きなネットが張られた広場だが、歩けばふわふふわ、ピョンピョンと跳ねる樹上のトランポリンだ。またブランコもある。子供たちが跳ねたり飛んだりできる、ちょっとアクティブなコーナーだ。
そのほか紀伊半島の山並みが一望できる展望エリアもあって、ちゃんとスマホによる自撮りグッズも用意されている。
こうした樹上に広がる回廊を渡り歩くだけでも面白い。時間制だが丸1日滞在しても楽しめるのではないか。
さらに泊まれるツリーハウスのほか、空中ハンモック、空中テント、透明テントといった珍しい宿泊設備も森の中にある。まさに森林リゾート、いや樹上リゾートなのだ。なお自炊やバーベキューができるサイトやシャワー室なども完備している。
フランスから見た日本の森への違和感
この「空中の村」をつくったのはフランス人のJolan Ferreri(ジョラン・フェルリ)さん。「空中の村」を経営するフェレリ合同会社の代表を務める。
ジョランさんは、フランス南東部のグルノーブル近郊で生まれ育った。2014年に来日し関西学院大学大学院に入学した。すっかり日本が気に入って卒業後も日本で就職しようと思ったが、選んだ職種が林業だった。
「高校生の頃から森の中の仕事に憧れていました。フランスでは林業はカッコいい仕事とされて、女性にモテる思ったから(笑)。でも、就職先に巡り合えない時、当時十津川村の副村長だった小山手修造さんに出会いました。そこで十津川村の地域おこし協力隊になれば林業ができると聞いて応募したんです」
完璧な日本語を話すジョランさんだが、村の森で働き始めて違和感を持ったという。
