「フランスと違って、日本の林業は衰退産業とされて森もよい状態ではありません。驚いたのは、日本人が山で遊ぶ感覚を持ってないこと。目の前に山があるのにハイキングにも行かない。ヨーロッパでは、みんな山や森に遊びに行くのに」
林業振興は、まず森を好きになってもらうことから。そう考えたジョランさんは「空中の村」の企画を出した。
フランスには「空中の村」のような施設が多くあり、人々が森と親しむきっかけになっている。村は、この企画を承認して建設費も出してくれた。
森でのんびりすごす
「空中の村」の狙いはどこにあるのか。
「やはり魅力は、樹上で過ごす体験ができること。もちろん樹上から見る景色も楽しめます。また斜面を歩かないので登山のようにきつくないし、土や泥で汚れることもない。それに高いところに虫はいません。これは日本の、とくに女性に喜ばれますね。そして雨の後もすぐに乾くので施設として使いやすい利点もあります」(ジョランさん)
森をそのまま活かして遊ぶ点と、樹上に展開する施設というコンセプトは「フォレストアドベンチャー」などと一緒だが、アスレチックでは基本的にハーネスを身につけて安全を確保しながら挑戦する。筆者も体験したことはあるが、面白いのだけど結構ハードだ。
筋力も体力も使う。木の上で怖くなって動けなくなる人もいた。客層となっているのは、子供よりアクティブな青少年が多かった。
一方で「空中の村」は比較的のんびりと過ごせるのが魅力だろう。小さな子供のいる家族や女性のグループ、そしてカップルに人気だという。
オープンは2020年4月1日。いきなりコロナ禍に突入し厳しいスタートだったが、現在では年間5000人前後の利用者がいる。キャンプ施設も増設して、こちらも人気だ。
20年には「にっぽんの宝物 Japan大会 2020-2021」でVisit Japan部門準グランプリを受賞。さらに21年に「第8回ディスカバー農山漁村の宝アワード」で空中に輝く新林賞、22年に「はなやかKANSAI魅力アップアワード 第5回モデル性部門 特別賞」と、地域おこし関連のコンテストで受賞を続けている。
