韓国は、これまで米韓自由貿易協定(FTA)によりほぼ無関税で対米輸出してきたが、今後は15%の関税が課される。関税回避のために韓国企業が米国内での生産を増やせば、韓国内の投資や雇用が縮小する。
世界は、政府と企業一体で競争する「官民一体競争」の時代に突入している。韓国も新産業への大胆な政府支援や既存産業の高付加価値化の産業政策が必要だ。今回の交渉妥結を「成功」として祝うよりも、政府は「重大な難関を一つ乗り越えた」という冷静な認識を持つべきだ。
外部環境は祝杯を挙げられるほど甘くない。政府は貿易秩序の変化に適応するための長期的ロードマップを策定すべきだ。
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韓国産業界は安堵
7月以来難航してきた米韓関税交渉は、10月29日のトランプ・李在明首脳会談で「突如として」、「急展開」妥結した。最後まで韓国が抵抗したのは、対米投資の規模(3500 億ドル)とその中身は現金投資だとの米国の要求だった。
この社説は、交渉妥結とその内容を評価する。韓国は、年間投資額の上限を200 億ドルに制限することを取ったが、投資総額3500億ドルや計画の基本的構造は呑まざるを得なかった。
韓国自動車への関税は、日欧と同じ15%となった。韓国は米韓FTAで無税を求めたが、米国は拒否した。また、韓国は米韓通貨スワップ取極めの締結を要求したが、米国はこれも拒んだ。
しかし、米韓関税交渉は妥当なところで妥結した。何より産業界は大きく安堵している。革新的な李在明の国内での政治的立場も強化された。
社説が言うように、今回の交渉で反米感情の高まりはなかった。他方、社説は、「今回の交渉妥結を「成功」として祝うよりも、政府は「重大な難関を一つ乗り越えた」という冷静な認識を持つべきだ」と述べ、今後の積極的な政策が不可避だと釘を刺す。
今回の首脳会談を通じて造船が注目を浴びた。韓国の対米投資計画では、ハンファ・オーシャンが2年前に買収したフィリー造船所の立て直しに1500億ドルを投資することに合意した。
