2025年12月29日(月)

トランプ2.0

2025年12月29日

共和党支持者におけるエプスタイン問題と経済の要素

 トランプとグリーンの対立は、MAGAにどのような影響を与えるのだろうか。また、2026年11月の中間選挙にどの程度の影響を及ぼすと考えられるのか。中間選挙の争点になる可能性がある共和党支持者におけるエプスタイン問題と経済の2点に焦点を当てて、各種世論調査結果をみてみよう。

 英誌エコノミストと調査会社ユーガブの全国共同世論調査(2025年12月20~22日実施)によれば、トランプのエプスタインに関する捜査の対応について、全体で26%が「支持」、55%が「不支持」で、「不支持」が「支持」を約30ポイントも上回った。しかし、共和党支持者に限ってみると、58%が「支持」、18%が「不支持」と回答し、逆に「支持」が「不支持」を約40ポイントリードした。

 この世論調査結果をみる限りでは、グリーンは共和党内では少数派である。

「MAGA富裕層」「MAGA中間層」と「MAGA低所得層」の三層

 次に経済に関する世論調査結果をみてみる。このときにポイントになるのが、「MAGA富裕層」「MAGA中間層」および「MAGA低所得層」というMAGAにおける三層である。

 エコノミストとユーガブの全国共同世論調査では、経済的余裕について質問したところ、米国民の16%が「1年前と比べて経済的に余裕がある」、45%が「1年前と同じ」、35%が「1年前と比べて経済的に余裕がない」と回答した。

 ただし、2024年米大統領選挙でトランプに投票した有権者に限ってみると、28%が「1年前と比べて経済的に余裕がある」、49%が「1年前と同じ」、21%が「1年前と比べて経済的に余裕がない」と答えた。全体と比べて、「余裕がある」と「同じ」の割合が高く、「余裕がない」が低かった。

 億万長者のトランプの側近たちを含めた「MAGA富裕層」や「MAGA中間層」は、現在の物価高騰の影響をそれほど受けておらず、「MAGA低所得層(労働者層)」は、明らか影響を受けている。

 筆者が2025年2月に参加した「米保守政治活動会議(CPAC)25」の年次大会は、1室1泊約5~6万円のホテルで開催された。「MAGA富裕層」は同ホテルに宿泊できたが、筆者が大会で出会った中西部インディアナ州から参加したMAGA夫婦は、1泊に5~6万円を費やすのは収入の面から厳しく、会場の周辺にある3万円台のホテルを探して大会に参加したと語っていた。その後、この夫婦はイタリア旅行に出かけた。彼らは、いわゆる「MAGA中間層」である。その一方で、大会では「MAGA低所得層」を見かけなかった。

 仮に、次の中間選挙までに、経済状況が改善しなかった場合、トランプは2024年米大統領選挙で彼に投票した高卒以下の白人やヒスパニック系(中南米系)およびアフリカ系の中で、経済的に余裕がないと訴えている「MAGA低所得層」を説得して、彼らを投票所に動員することができるかが重要となる。


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