2026年1月10日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月7日

 数カ月以内に行われる次回の選挙では若年層の支持の高い国民党が第1党となる可能性が高いが、保守派としては国民党政権の成立を阻止するために国境紛争を利用して愛国心を高揚させ、アヌティーン氏の党や親軍政党の議席を伸ばそうとしているのではないか。

 さらに、今回の国境衝突では、タイ側が砲撃の応酬から空爆へとエスカレーションを繰り返しており、証拠はないがパイロットでもある現国王のタカ派的姿勢が軍に影響している可能性もあり得る。だとすればタイ側がおとなしくなる可能性はますます低くなるだろう。

消極的な中国

 今後、紛争が一層拡大するならば、安全面等で日本企業への影響は不可避だろう。本来は、タイとカンボジアにそれなりの影響力があり現地の事情にも詳しい日本が調停に動いて然るべきだが、東アジア情勢などで日本にはそれだけの余裕がないのであろう。

 奇妙なのは、最近この地域に急速に影響力を伸ばしている中国(長年、タイは日本の自動車産業の牙城だったが、中国が電気自動車でその牙城を切り崩そうとしているようにも見える)も積極的に紛争の解決には乗り出していないことである。中東、アフリカ等の他の地域でも中国の関心は経済的権益の獲得にあるが、その土俵を整えるための政治的な役割を担うことには消極的なように見える。

 そこが、経済的利権確保のためには政治力、さらに軍事力の行使も厭わない米国(トランプ第2次政権で顕著にそうした姿勢に変わりつつある)との大きな違いのように思われる。

海事産業は日本の生命線 「Sea Power」を 国家戦略に▶Amazon楽天ブックスhonto
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る