2026年1月12日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月12日

 それによって各国の経済界や知識人層に中国への応援団を創出し、対中脅威を唱える主張を過剰反応だと誘導する効果を狙っている。しかし実際は、中国は南シナ海において軍事力で現状変更を推し進め、台湾に対しては軍事力に訴えても併合を実現しようとしている。

負けていない米国の戦略的立場の発信

 しかし、以上の中国のキャンペーンに対し、米国の行政府も立法府も動じていない。対中脅威に関する戦略的立場については曖昧さが感じられない。認知戦における防御壁が日本に比較して格段と厚い。

(1) 米国大統領府は12月5日、国家安全保障戦略を公表し、その中で中国を念頭に「台湾を奪取しようとするいかなる試みをも阻止する」と宣言した。また米国国防総省は台湾向けに総額 111億ドルの軍事支援を決定した。

(2) 米国議会では、上院外交委員会のリケッツ(共和)とクーンズ(民主)の議員らがまとめた決議案は、中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射問題や、中国が国民に日本への渡航自粛を要請したことにつき、「中国による日本への経済的、軍事的、外交的威圧を非難」している。また台湾有事を巡る高市総理の答弁についても「集団的自衛権の行使を可能にするものだ」として発言に問題ないとの認識を示し、日本の対応は「中国の挑発に対して緊張緩和に努めている」と評価もしている。

 ところが、高市首相の台湾に関する国会答弁を巡り、なぜか日本国内の議論の多くは様々な視点からナイーブに映る。日本では、知識人やメディアを中心にその多くが海外からの議論に迎合する傾向が強く、国論を政治権力で統一している共産主義政権に対抗する上では、認知戦で極めて脆弱である。

 インテリジェンス機関の議論が現実味を帯びてはきているが、認知戦に勝てる発信能力の強化も必要だろう。

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