「私自身、ゼネコンの経験があるので協力会社の方と一緒に仕事をすることに、違和感はありません。ただ、我々の造る木造建築は100年、200年保つことが求められます。高い品質を維持するためには、伝統建築に関する工匠たちの技術の向上は欠かせません」
建築業界にも分業化の流れ
自社で職人を育てる意義
自社で職人を育てることを方針とする奥谷組は、新卒者のみで職人を採用している。
「反復練習をして、体で技術を覚える職人さんは、最初に習ったところの癖がつきやすいです。なので、新卒の方を採用して自社で基礎から育てていくようにしています。木工事が一通りできる一人前の職人になるまでの目安はだいたい20年。スポーツ選手と同じで、職人技術を学ぶのは早ければ早いほどよいのです。例えば、真っすぐに槌を下ろした方が良いと頭でわかっていても、なかなか思うようにいかないもの。職人というのは日々の積み重ねで技能を磨いていくしかないんです」
こう聞くと、男性中心で「技術は見て覚えろ」といった古めかしい世界がそのままの形で残っているかのように感じるかもしれないが、そうではない。
「昔は難しかった女性職人ですが、うちには2人います。職人以外の技術職である工事課と設計課は、年々女性が増えています。時代の流れやなと思います」
以前は人力で木材を持ち上げていた作業にはクレーンを導入したり、最初に木材を切り出す「粗どり」の工程は機械で行っている。守るべきところは守り、必要な部分は適切に合理化を図る。職人や技術者が快適に作業できるよう、アップデートも惜しまない。
