2026年1月17日(土)

令和の京都地図

2026年1月17日

職人不足でも応募は絶えない
欠かさなかった職人への敬意

 毎年全国から応募者が集まるという奥谷組だが、千田さんは、職人を目指す人は、年々減っている印象を持っているという。

 「昔はなりたい職業ランキングの上位の方に大工さんが入っていた。うちにも、『棟梁になって、いつかお寺を建てんねん!』という意気込みで面接に来る人も多くいました。今は、大工を目指す人数はだいぶ減ってしまいました。職人さんが身近ではなくなってしまって、今はなんでも工場でできあがってくるイメージがあるんちゃうかな。何かを誰かが削って造っている。何かを誰かが組み立てている。そういう背景が想像しにくい時代になっているんだと思います」

 それでも、奥谷組では毎年数人ほど、継続して採用を続けている。昔から職人を大切にし続けてきた姿勢も、求職者には魅力的に感じられるのかもしれない。

日々、様々な作業現場に出向く千田さん。ねぎらいの心を忘れない

 「今は、働き方改革という言葉が出てきましたが、昭和30年代の頃から、職人さんにも保険や厚生年金、有給休暇を完備し、正社員としてきました。働く日数や待遇は、今でも他の業界の職種に劣らないよう心がけています。例えば、子どもの運動会があったらみんな休みます。それで良いと思うんです。

 それを補うために何が必要なのかを考えるのが、私の仕事です。工期を長く取るのか、新しく機械を導入するのか、もしくは、『技能』は一朝一夕には向上しないけど、『技術』なら教え方を工夫することで変えられるかもしれない、などです。あまり大きなことはできませんが、小さいことの積み重ねが大事です。できることから少しずつ良い方向に柔軟に変えていくようにしています」

 奥谷組にはもう一つの特徴がある。自社で製材所を完備していることだ。林野庁の調査によると2000年に全国に約1万軒あった製材所は、21年には4000軒を下回った。全国的に減少する製材所を、堂宮大工の会社が持ち合わせているというのは非常に珍しい。

「10年で一人前」とされる製材作業。社寺の土台を司る奥深い世界だ

 「製材というのは、とても手間がかかる作業です。でも、自前の製材所があることで、乾燥した材料を常に置いておけますし、切り出しも自由にできます。最初から最後まで木工事の全てを自社で担えることで、妥協のない社寺建築が行えるのです」


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