2026年1月17日(土)

令和の京都地図

2026年1月17日

変わらずに続けていくこと
その尊さを知る京都という場所

 人材育成から製材まで〝自前〟にこだわる奥谷組の方針は、一見すると非合理的かもしれない。だが、質の高い社寺建築技術を途絶えることなく未来に伝承していくという目的の前では合理的なのだ。

檜皮葺の屋根を葺き替える東寺敷地内の現場。口に含んだ竹釘を取り出し、リズムよく金槌を打ち付けていた
50年ぶりに瓦の葺き替えを行う。緻密に計算された反り屋根が美しい

 「我々は京都を中心にしつつ、全国の社寺の建築や修復などに出向きます。木工事以外の仮設・屋根・左官・石・錺金物・彩色など、伝統建築を生業にする様々な業種と共に京都から行く場合も多いです。ずっと一緒に仕事をしているので、こちらが求めているものをわかってくれています。一つの建築物の修復をするにしても、様々な業種がセット。京都にはこうした多種多様な業種が今でもそろっており、実はそれがとても重要なことだと思っています」

 現代の視点でとらえるならば、奥谷組の最大の強みは、強固なサプライチェーンと京都に根を張る地元企業との「顔の見える関係性」ではないか。高い技術力や価値観を共有する上では欠かせないことなのだろう。

 「多くの企業は少しずつ業績を上げて大きくなっていくことが求められているように思います。でも、立ち止まってみると、何のためにそれをするのか、よくわからないまま成長することが目的化してしまうことがあると思います。もちろん、拡大することがあってもいい。でも、私たちは、それをするために別のことに手を出すよりは、今やっていることを長く続けていきたい。前の代があって、次の代につなぐために、今がある。我々のモットーは『未来の国宝を造る』こと。私たちが造ったものが500年後にも誇れるように、これからも社寺建築一筋に歩んでいきたいと思います」

世代を越えた二つの垂木が未来の国宝を支えている
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Wedge 2025年12月号より
令和の京都地図 古くて新しい都のデザイン
令和の京都地図 古くて新しい都のデザイン

時代が変わるたび、京都は常に進化を遂げてきた。「千年の都」京都は今後、どう変わってゆくのか。日本人のみならず、世界中の人々を惹きつけてやまない魅力や吸引力はどこにあるのか。京都に根を張る各界の先駆者たちに聞く令和時代の新しい京都地図とは─。


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