変わらずに続けていくこと
その尊さを知る京都という場所
人材育成から製材まで〝自前〟にこだわる奥谷組の方針は、一見すると非合理的かもしれない。だが、質の高い社寺建築技術を途絶えることなく未来に伝承していくという目的の前では合理的なのだ。
「我々は京都を中心にしつつ、全国の社寺の建築や修復などに出向きます。木工事以外の仮設・屋根・左官・石・錺金物・彩色など、伝統建築を生業にする様々な業種と共に京都から行く場合も多いです。ずっと一緒に仕事をしているので、こちらが求めているものをわかってくれています。一つの建築物の修復をするにしても、様々な業種がセット。京都にはこうした多種多様な業種が今でもそろっており、実はそれがとても重要なことだと思っています」
現代の視点でとらえるならば、奥谷組の最大の強みは、強固なサプライチェーンと京都に根を張る地元企業との「顔の見える関係性」ではないか。高い技術力や価値観を共有する上では欠かせないことなのだろう。
「多くの企業は少しずつ業績を上げて大きくなっていくことが求められているように思います。でも、立ち止まってみると、何のためにそれをするのか、よくわからないまま成長することが目的化してしまうことがあると思います。もちろん、拡大することがあってもいい。でも、私たちは、それをするために別のことに手を出すよりは、今やっていることを長く続けていきたい。前の代があって、次の代につなぐために、今がある。我々のモットーは『未来の国宝を造る』こと。私たちが造ったものが500年後にも誇れるように、これからも社寺建築一筋に歩んでいきたいと思います」
