2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月16日

 アメリカン・エンタープライズ研究所日本研究部長のオースリンが、6月5日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説で、安倍総理のシャングリラ会議での演説を、アジアに大きな変革をもたらし得るビジョンの表明であると評価し、日本はアジアにおける中国に対するカウンターウェイトの役割を果たしつつある、と述べています。

 すなわち、日本は、長年、世界における自国の立場をどう定義すればよいか苦闘してきたが、今や、安倍晋三総理は、地域における北京に対するカウンターウェイトの役割を引き受けている。これは、失敗すれば、緊張を悪化させ、武力紛争さえ惹起させることになるかもしれないリスクがあるが、変革をもたらし得る賭けである。

 安倍氏は、シャングリラ会議で、そのビジョンを明らかにし、海洋における領域紛争をめぐり(名指ししなかったが、中国による)威圧に直面している東南アジアの国々に対して、日本の「最大限の支持」を約束した。彼は、アジアにおける平和と安定の維持に、日本が一層大きく積極的な役割を果たすつもりである、と言った。

 彼の政策の柱の一つは、日印関係の再活性化である。日印間の経済関係の発展を望む、ナレンドラ・モディ新首相は、これに喜んで応じた。その真の要因は、戦略的なものである。日印は共に、航海の自由が国益であり、中国の領土紛争への対応に懸念を抱いている。

 第二の柱は、中国との紛争に巻き込まれている東南アジア諸国への支援である。日本は、フィリピンに10隻の巡視艇を供与し、ベトナムも、日本製の船舶が出来次第、受け取る予定である。安倍氏は、昨年、ASEANの10か国すべてを訪問し、豪、日、米の間での協力を推進している。

 安倍総理は、日本の安全保障政策を広範に見直そうともしている。長年にわたる集団的自衛権行使の禁止を終わらせ、最も重要なことに、米国とより緊密に協働できるようにする計画を明らかにしている。安倍氏は、日米同盟は、米国の艦船や軍隊が攻撃された時に、日本がそれを護ることが出来てはじめて有効である、と言っている。


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