2026年1月23日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年1月23日

エスカレートする中国の強硬姿勢

 まず、中国の対日強硬姿勢と「制裁」の実態を整理しておこう。高市発言以降、中国は日本大使への抗議を皮切りに、旅行・留学の自粛呼びかけ、日本人歌手の公演中止、日本映画の公開延期など、幅広い分野で圧力をかけてきた。

 ただし、その多くは日本経済に深刻な打撃を与えるものではない。日系企業の操業停止や大規模な不買運動が起きたわけでもなく、輸出入の流れも大きくは変わっていない。

 中国側はあくまで「行政手続き」「民間判断」「不可抗力」といった名目を用い、外交的な報復措置とは明言しない形で圧力を積み重ねてきた。実際、中国政府が各種の「制裁」を指示しているわけでないと推定されている。「日本への怒り」という政権のシグナルを見て、省庁、地方政府、企業が個別に動いているという側面が強い。

 シグナルはCCTV(中国中央電視台)や人民日報、新華社など国有メディアの論評から読み取ることができる。人民日報を見ると、26年に入っても、「歴史の書き換えを意図する日本右翼の陰険な話術を看破する」(1月4日)、「日本への3つの問い、いわゆる「平和国家」の仮面をはぎとる」(1月15日)など、定期的に日本批判のシグナルとなる論評記事が掲載された。

 さらなるエスカレートのきざしもある。中国商務部は1月6日に「デュアルユース物品・技術の日本輸出規制の強化に関する公告」を発表し、日本の最終軍ユーザー、軍事用途、日本の軍事力向上に資する品目の輸出を禁止すると発表した。この規制が最終的にどれほどの影響を持つのかはまだわかっていない。

 24年施行の「デュアルユース物品・技術輸出規制条例」では、デュアルユース品目は輸出前に最終ユーザーに対する認可が必要となる。これまで許可されていた輸出先が新たに禁止対象となるのかどうかは定かではない。

 中国企業にとってもどの取引が禁止されるかは明確ではない。どの企業の許可が下りて、どの企業の許可が下りないのか、はっきりするまでには時間がかかりそうだ。この不透明さ自体が、企業にとっては新たなリスクとなる。

 今回の日中対立については、中国の強硬姿勢は一過的なもので、時間が経てば対話が再開するとの見方を持つ論者が、筆者を含めて多かった。しかし、中国共産党のシグナルはむしろエスカレーションに向いている。


新着記事

»もっと見る