『テミスの不確かな法廷』に戻ろう。安堂が心の中でつぶやいていのは「僕は宇宙人。地球人の争いごとは減らない。僕のペースで、できるだけ減らすことが僕の課題だ」。
そして、訴訟指揮などの場面で安堂が検事や弁護士らに向かって告げる言葉が、本ドラマの神髄である。
「わからないことをわかっていないと、わからないことはわかりません」
家賃滞納の裏にある〝問題〟
安堂の法廷に向き合う姿勢が、周辺の人々を変えていく。多彩な脇役陣をそろえたところもまた本ドラマの魅力である。
第5話に至って、訴訟に時間をかける安堂のために部全体の訴訟の処理件数が滞ってしまう。これを「赤字」という。判事補の落合知佳(恒松祐里)は、安堂が担当している案件のいくつかを自分が引き取ることを部長の門倉(遠藤)から許可を得る。
ベトナム人のグエン・バン・ホン(ジュリウス)が、賃貸アパートでのペットの飼育と騒音について、落合(恒松)は即決で退去命令をくだす。執行官の津村綾乃(市川実日子)らの係官が、グエンの部屋のカギを強制的に開錠して、部屋の中に入るとカーテンの影に少女・来生春(石田莉子)を発見する。
春を守るようにして、グエンは包丁で津村(市川)の腕を切りつける。グエンは傷害罪で逮捕される。
取り調べに対して、グエンも春も口を閉ざす。周辺の調べから、春は母親によって戸籍を届けないつまり「無戸籍」のまま、飲食店などで働かされていた。母から逃げ出そうとした時に、もみあううちに春は母を押し倒してそのはずみに頭を打って殺してしまったのだった。
自殺しようとしていた春をグエンが助けた。アパートの部屋にかくまいながら、学校に通ったことのない春に小学生向けのドリルなどで勉強も教えていたのだった。
事務処理のように案件を扱った反省もあったのだろう。落合(恒松)は、春に向かって「助けてほしい時には、『助けて』っていっていいんだよ」と諭すのだった。
