グエンは傷害罪で1年6月の実刑がくだった。このため、刑期終了後は本国に強制送還される。少女だった春は児童施設に入り、戸籍を得た。
グエンは春に「死ぬにはいつでもできる」といって、毒薬が入っているというペンダントを春に渡していた。安堂はあっさりと、その薬が毒物ではないことを見抜いて口にほおりこんだ。ラムネだったのである。
恒松祐里と市川実日子の浅からぬ縁
春が入っていた児童施設で、執行官の津村(市川)と判事補の落合(恒松)が出会う。津村は、春に戸籍ができたことを知らせにきた。落合は、グエンの判決を告げに。
春は「きっと(母国に送還された)グエンに会いに行く」と。
津村と落合は、児童施設の帰りがてら話しかけあう。
津村 あなたって、エリートの鎧を着ているようで苦手だったのよ。
落合 わたしもあなたが苦手です。いつも世の中を知っているような顔をして。
津村 今もやっぱり苦手なんだけどね。
落合 わたしもです。
恒松祐里も市川実日子も、映像界でなくてはならない存在である。Netflix世界配信『全裸監督season2』(21年)で裸体をさらした演技をみせた恒松は、スマッシュヒットの異世界モノ『きさらぎ駅』(22年)とその続編『きさらぎ駅 Re:』(25年)のヒロインを演じている。
実は、ふたりは『レンタネコ』(荻上直子監督、12年)において、猫を何匹もリヤカーに乗せて「レンタネコー、レンタネコー…寂しい人に猫はいかがですか?」と拡声器で呼びかける、ヒロインの市川実日子の中学校時代を恒松祐里が演じている、という縁もある。
本ドラマの主役である松山ケンイチの多彩な演技力は定評がある。『デスノート』(金子修介監督、06年)における天才・Lや、『川っぺりムコリッタ』(荻上直子監督、22年)の刑務所を出所して水産加工会社で働きながら周囲の奇妙な隣人たちと関係を結んでいく役など、余人をもって代えられない。
『テミスの不確かな法廷』もまた、松山の代表作となるのは間違いない。
