数百トンの核出力の核実験をデカップリングで隠蔽しようとすれば、地中深くに巨大な空洞が必要である。技術的には、地下600メートルから1キロメートルほどの深さに直径30メートル程度の空洞を作っていることが想定される。
そうした空洞を作るためには、膨大な掘削土が地上に出てくるはずであり、米国政府が上記のような推定を行うに際しては、衛星画像で掘削土の量を捉えており、それも推定の材料としている可能性がある。
この「数百トン」を仮に500トンと仮定すると、その威力は、広島に投下された原爆(15キロトン)の約30分の1、長崎に投下された原爆(21キロトン)の約42分の1に相当する。核兵器の世界では、超小型(低出力)と見なされ、都市を消滅させるレベルではないが、数ブロックを跡形もなく吹き飛ばし、巨大なクレーターを作るほどの威力を持つ。
中国の狙い
第二に、数百トンの核出力の核実験を行っていたとすれば、中国の狙いはどのような点にあるのだろうか。中国が最後に公式に確認されている核実験を行ったのは1996年であった。それ以来、30年が経過しているが、その間、中国の世界におけるポジショニング、野心、対米姿勢も大きく変わり、それらは、当然のことながら核政策にも反映していると考えられる。
1990年代には、米国に届く核報復能力を持つことが課題であったが、現在では、米国との軍事衝突に至った際に、米国に圧倒されず、逆に圧倒できるような核戦力を視野においていると考えられる。
そうした中、「数百トンの核出力の核実験」で核爆発装置の作動を確認すべきニーズとしては、一つの弾道ミサイルに複数の核弾頭を装備するMIRVの高度化(小型化、軽量化)、中国が開発している極超音速滑空体(HGV)用の核弾頭の開発、局地的な軍事目標のみを叩く「使いやすい核」である低出力核の開発などが挙げられる。
