創作性があるかは難しいところですが、特にこうした「公衆に聞かれることを意識した会話」が一定のまとまりをもった長さとなってくると、ラジオ番組での会話が著作物と認められる可能性はあると考えられます。
もし、会話部分が著作物となれば、それをそのまま書き起こす行為は「複製」に当たりますし、不特定多数が見られるブログにアップロードすれば「公衆送信」にも該当します。そのため、炎上したブログの事例がどうかはわかりませんが、一般に無許諾でのラジオ番組の書き起こしと公開に著作権侵害のリスクがあること自体は否定できないでしょう。
「要約」や「改変」は認められる?
――それでは、ただ単に書き起こすのではなく、面白い部分だけをまとめ直したり、内容を要約したりする場合はどうですか?
興味深い観点です。これは、手の加え方によって扱いが変わってきます。著作権法的には、手を加えたものからオリジナルの著作物の本質的な特徴を直接感得(感じ取ること)できるかどうかが問題です。
仮に、言葉尻や言い回しといったごく軽微な変更だけなら、十分にオリジナルの著作物の本質的特徴を直接感得できると言え、その場合は著作物を無断で「複製」した侵害行為として扱われます。
また、ごく軽微な変更ではなく、創作的な変更を加えている場合でも、なおオリジナルの著作物の表現の本質的特徴が残っていれば、それは翻案権*7侵害(無断で二次創作物をつくった)として扱われます。
例えば、ラジオ番組の会話を書き起こし、キャラクターのセリフとしてしゃべらせるような動画に編集したもの。あたかもキャラクターが話しているかのような動画にしたことは創作的な変更ですが、そのセリフ自体がオリジナルの会話であり、かつ、使用した会話部分に著作物性があれば、その著作物の二次創作を無断で作成したとして翻案権侵害となりそうです。
なお、複製権侵害と翻案権侵害は厳密な線引きが難しいため、実務上は「複製権または翻案権の侵害」とセットで言われることも多いです。
――なるほど……。多少の変更を加えても許されるわけではないと。
しかし、さらに大幅に要約、改変をして、オリジナルの表現が直接感得できないほどに変わっているとしたら、複製権や翻案権の侵害に当たりません。
「より改変をすれば著作権侵害にならないのか」と疑問に思われるかもしれませんが、著作権法はアイディアではなく具体的な「表現」を守る法律です。同じアイディアを別の表現を使って発表することは許されるため、大幅な要約や改変は適法になるのです。
考えてみると、著作物に限らず世の中の出来事、誰かが発表した考え、作品などのエッセンスを要約して世間に伝えることは、報道機関やジャーナリスト、もしくは我々が誰かに物事を伝えるときにしてきた、社会に必要なこととも言えます。
このように、ラジオ番組で話された内容のエッセンスを、自分の言葉で表現し直せば(元の表現の本質的特徴が残っていなければ)、それは著作権侵害にはならないのです。もっとも、ラジオ番組でのやり取りを、オリジナルの面白さや要点をうまく汲み取りつつ、元の表現の本質的特徴を残さずに伝えるのは……なかなか難しい作業ではあるでしょう。
*1 翻案/翻案権 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などにより新たな創作的表現に作り変える権利。著作権法第27条で規定される。

