2026年4月7日(火)

教養としての中東情勢

2026年4月7日

 大統領は会見で、ペルシャ湾の石油の恩恵を受けている日本や欧州諸国が助けにきてくれなかったと的違いの非難を繰り返したが、身勝手な戦争の尻拭いを同盟国や友好国にさせるとして極めて評判が悪い。このほど開かれたホルムズ海峡の安全確保の会議に米国が呼ばれなかったのは偶然ではない。

イランは強硬路線に傾倒

 米国の社会インフラなどに対する攻撃や限定的な地上部隊の侵攻にイランはどう対処しようとしているのか。まずは発電所や橋梁攻撃には、ペルシャ湾岸諸国への報復で対抗する考えだ。湾岸諸国には米軍基地が13カ所あるが、イランは特にアラブ首長国連邦(UAE)への攻撃を激化させるのではないか。

 UAEはイスラエルと国交を持っていることもあり、早くから積極的にイラン攻撃に手を貸したフシがある。UAEの石油ガス関連施設や淡水化施設、橋梁などが対象になる。

小国のクウエートやバーレーンなどへの攻撃も激化するだろう。イランはすでにUAEにある米オラクルやバーレーンにあるアマゾンのデータセンターに攻撃を仕掛けている。

 イランがこうした強硬路線に傾斜しているのは多くの指導者らが米軍とイスラエルの空爆で暗殺されてほとんど強硬派しか残っていないためだ。ガリバフ国会議長、バヒディ革命防衛隊司令官、レザエイ軍事顧問らが中心的な指導者で、核武装推進派とされる。穏健派とみられているのはペゼシュキアン大統領ら少数だ。

 トランプ大統領はイランを屈服させるため地上侵攻に踏み切ることに傾斜しているが、カーグ島やケシム島では、イランは迎え撃つ兵力を増強、罠を張り巡らしている。大統領はイランのミサイルやドローンをほとんど破壊したとしているが、米情報機関は「半分が無傷」と分析している。

 特にケシム島の地下には「ミサイル都市」が広がっているという。弾道ミサイルはまだ2000発、ドローンは数千発保有しているとの情報もある。イランにとって考え時なのはトランプ大統領が「合意がなくても撤収する」として一方的に集結させた米軍を引き揚げることだ。

 イランはそれでも湾岸諸国の米軍基地に対する攻撃を続けるだろう。ペゼシュキアン大統領は「戦争は米国民にとって何の利益になるのか」と呼び掛けた。トランプ氏はこの問い掛けをよく噛みしめるべきだ。

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