だが、ブランズが別の論考(『読売新聞』3月27日朝刊)で述べているとおり、実際の行動を見れば「第二次トランプ政権は、孤立主義的でもなければ、世界への関与から撤退しようともしていない」、「トランプ氏は、米国が世界に大きな影響力を保ち、支配するような体制の構築を狙っている」ように見える。米国は、西半球への「戦略的閉じこもり」を行っているわけではなく、「大洋を越えて負う重責」を放棄しているわけでもない。
そうだとすれば、世界は、「二つの世界」未満、「いくつもの帝国」以上の状況で推移する可能性が高い。その二つのシナリオの間のどの位置で収まるかは、米国の行動、特に、世界に関与する意思の強さと、敵対国と同盟国に対する距離の取り方によって大きく左右されることとなろう。5月に予定される米中首脳会談は、これらの点についての米国の立ち位置を示す一つの機会となる。
日本が取るべき対応
上記を踏まえるならば、日本として取るべき対応もまた明らかである。「米国の同盟網がそのまま維持される」との楽観論にも、「日米同盟は維持されない」との悲観論にも立たないということである。米国の同盟網は縮小していく可能性が大であるが、そうした中でも、日米同盟が生き残っていく可能性を高めるように、日本としてなすべきことを行っていくということであろう。
なお、日本の一部で多くの期待が寄せられたカナダのカーニー首相による「ミドル・パワーの連携」で国際秩序を支えようとする主張について、ブランズは「古い夢に過ぎない」と一刀両断に切り捨てている。最も強大な国のコミットメントがない状況において、「支配者(ruler)なしに規範(rules)が維持される」と考えるのは「幻想」であるとしている。同感である。「ミドル・パワーの連携」は進めるべきだが、それだけで国際関係の安定を図ることはできない。

