2026年4月11日(土)

Wedge REPORT

2026年4月11日

 米国・イスラエルとイランの2週間の停戦が合意したのもつかの間、イランがホルムズ海峡を再び封鎖した。イスラエル軍がレバノンに大規模攻撃をしたことが停戦違反として、イランが対抗措置をとったとしている。

(Alones Creative/gettyimages)

 ホルムズ海峡を通じた輸送はままならない状況が続き、湾岸諸国のエネルギー関連施設では攻撃被害により運営に支障をきたしている。エネルギー需給が不安定化する状況がしばらく続く。

 イラン情勢とエネルギーに関する記事を紹介する。

<目次>

ホルムズ海峡封鎖だけではない!深刻化する湾岸諸国の石油・ガス施設攻撃、さらに高まるエネルギー供給不安

日本船はホルムズ海峡を通過できるのか?すでに通過した100隻超はどんな船舶か、「史上最悪」エネルギー脅威の実像

・中東危機で現実味を帯びるヘリウム不足…世界資源の4分の1握るロシアには有望な代替供給国になるのか?半導体や医療機器を支える素材の現在地

イランが執拗に攻撃するUAEをフランスと韓国が防衛する狙い

石油備蓄放出、エネルギー補助金は是か非か?見極めるべき価格変動の“要因”、政策の判断基準とは

ホルムズ海峡封鎖は再エネにも影響?日本の化学業界にも打撃、エネルギー問題だけではない理由

ホルムズ海峡封鎖だけではない!深刻化する湾岸諸国の石油・ガス施設攻撃、さらに高まるエネルギー供給不安

UAEの石油施設がイラン製ドローンにより炎と煙が上がっている(AP/アフロ)

 イランによるペルシャ湾岸地域での軍事行動による、日々大量の石油や液化天然ガス(LNG)が通過するホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥っている。国内外では、ホルムズ海峡をどのように通過するかといったことに注目が集まっている。

 しかし、イランの報復攻撃は湾岸各国の石油・ガス施設にも及んでいる。攻撃の被害が拡大すれば、たとえホルムズ海峡の通航が再開されたとしても、湾岸諸国からの石油・天然ガス供給が中長期的に停滞することが懸念される。

 イランは米国・イスラエルから攻撃される度、報復として湾岸諸国に対するドローンやミサイル攻撃を強めている……

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日本船はホルムズ海峡を通過できるのか?すでに通過した100隻超はどんな船舶か、「史上最悪」エネルギー脅威の実像

(Suphanat Khumsap/gettyimages)

 共同通信は、イランのアラグチ外相が電話インタビューで、日本関連船舶のホルムズ海峡通過を認める用意があると明らかにしたと3月21日に報じた。一方、22日に茂木敏充外相はテレビ番組で、日本が単独でホルムズ海峡通過に働きかける考えを否定したと報じられた。日本船の通過は依然見通せないようだ。

 イスラエルと米国のイラン攻撃以降、それまで1日に100隻以上が行き交いしていたホルムズ海峡を通過する船舶は95%減少し、1日当たり平均6船程度になった。一方、ペルシャ湾内には3月19日時点で1290隻の外国船籍の船舶が滞留している。開戦後20隻以上の船舶がイランの革命防衛隊の攻撃を受け、死者も出た……

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中東危機で現実味を帯びるヘリウム不足…世界資源の4分の1握るロシアには有望な代替供給国になるのか?半導体や医療機器を支える素材の現在地

アムール・ガス加工工場(ガスプロム社HPより)

 2月末に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、世界経済の混迷が深まっている。もちろん、最も顕著なのは、生産施設への攻撃やホルムズ海峡の封鎖で、石油・ガス供給に混乱が生じていることだろう。

 だが、石油・ガス市場のみならず、各種コモディティの供給見通しも不透明になってきている。その中で、特に注目されているコモディティの一つがヘリウムである。ヘリウムと聞くと、風船や、「変声」のおもちゃを連想しがちで、「そんなに大事なものなのか?」と疑問を抱く向きもあるかもしれない。しかし実際には、現代社会を支える多くの技術に不可欠な素材なのである。

 たとえば半導体の製造工程では、回路をシリコン基板に焼き付けるリソグラフィ装置のレーザーにヘリウムが使われており、スマートフォンやパソコン、自動車など幅広い製品の生産に影響が及ぶ可能性がある。また医療分野では、MRI装置の超伝導磁石を極低温に保つために液体ヘリウムが欠かせない。医療機関での診断装置の運用や新規導入にも影響が出かねない。さらに宇宙開発や量子技術など先端研究の多くでも利用されている……

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イランが執拗に攻撃するUAEをフランスと韓国が防衛する狙い

イランから攻撃を受けUAEでは、石油プラントでも火災が起こる(AP/アフロ)

 米国とイスラエルがイランへ奇襲攻撃を行って以後、イランはペルシャ湾岸地域での軍事行動を一段と活発化させている。特に中東の主要産油国であり世界経済とのハブともされるアラブ首長国連邦(UAE)を執拗に狙い、エネルギー供給はじめ経済活動を阻害する。

 これに対しフランスや韓国がUAEの防衛へ一定の役割を果たしている。両国は2000年代よりUAEとの関係を発展させ、主要なエネルギー源としてきたためだ。中東にエネルギー資源を大きく依存する日本は、注視すべき動向である。

 UAE国防省はイラン攻撃の開始から3月20日までの間、イランから飛来した弾道ミサイル338発、巡航ミサイル15発、ドローン機1740機を迎撃したと発表した……

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石油備蓄放出、エネルギー補助金は是か非か?見極めるべき価格変動の“要因”、政策の判断基準とは

(Julia Gomina/gettyimages)

 原油価格が上昇した時、政府はどのように対応したら良いだろうか。一つは、政府は価格を抑えない、である。原油価格の高騰は、原油が貴重であり、これを節約しなければいけないというシグナルなのだから、すべての物価は原油価格高騰の分だけ上げるというアプローチである。

 ただし、原油価格が50%上がったからといってすべての物価が50%上がるという訳ではない。ガソリンなどは25%程度上がるだろうが、ガスでは20%、電力では10%、化学では6%、鉄鋼では3%、経済全体の平均では1.7%程度だろう。原油コストの最終小売製品に占める比率から、産業連関表で計算するとこのような数字になる。

 もちろん、物価上昇率にはトレンドがあるので最終的な物価上昇率はこれにトレンド上昇率を足したものである。現状のトレンドが2%であれば、平均の物価上昇率は3.7%となる……

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ホルムズ海峡封鎖は再エネにも影響?日本の化学業界にも打撃、エネルギー問題だけではない理由

(umutkacar/gettyimages)

 1973年秋に第一次オイルショックが起きた。オイルショック前に生まれた人が日本の人口の約半分なので、オイルショックの記憶がある読者は、さらに少ないだろう。

 それまで世界の石油生産の主導権を取っていたセブンシスターズと呼ばれた、エクソン、シェルなどオイルメジャー7社から、中東の産油国に主導権が移った結果、石油の価格は約4倍になり大きな物価上昇を引き起こした。

 当時、日本の一次エネルギー供給の4分の3以上は安価で利用が容易な石油だった。国内で産出される天然ガス、石炭の利用もあった米国は例外だったが、西欧州諸国も石油に大きく依存していた……

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