2026年4月12日(日)

勝負の分かれ目

2026年4月12日

 実は、開演前にメディアに配布されたセットリストにも「第1部」の紹介しかなく、第2部のことは書かれていなかった。受付担当者は「第2部」のセットリストは、ショーの後の囲み取材前に改めて配ると意味深な説明をしていた。筆者も周囲の記者も、その意味を理解できたのは、休憩を挟んで迎えた第2部が幕を開けてからだった。

 第2部のタイトルは「PREQEL Before the WHITE」。披露されたのは、「ICE STORY」の第4弾となる物語の前日譚だったのだ。

 大ヒット映画「国宝」の音楽を手掛けた原摩利彦さんによる全10曲の新作とともに、羽生さんは自らが原作を書き下ろした続編への前日譚を約20分にわたって滑り続けた。

従来のスタイルからの変化

 この間、一度もバックヤードへ下がることなく、会場を包み込んだ音楽と、白い布などを用いた壮大な演出と、自らの身体を駆使したスケートの動きのみで完遂した。

 「後半を全て出ずっぱりで演技する」(羽生さん)という初めての挑戦とも向き合ったショーだった。

 そんな第2部で氷上に描いたのは、主人公が旅と出会いを通じて、少しずつ世界の色と輪郭を知っていく物語の“はじまり”だ。

 羽生さんはメディアリリースで、その真意に迫るヒントとして、こんなコメントを添えていた。

 「世界にはいろんな色があって、私たちは生きていく中で知っていく。
 それを成長と読んだりするものかなと、思っています。
 私たちが持つ、色を認識する細胞たちは、皆それぞれ違っていて、誰一人として同じ色を見ることができないのかもしれません。
 だからこそ世界はとても綺麗で、いろんな感情に溢れていて、それを知る喜びと、それらを共有し、わかり合える幸せもあるのではないかと思っています。
 第2部『Prequel : Before the WHITE』は続くICE STORY 4th へとつながる前日譚です。MIKIKO先生と原摩利彦さん、そして映像とスケートとで描かれた色たちを知った後、皆さんにはどんな世界が見えるでしょうか」

 原作を書くにあたっても従来のスタイルに変化を加えた。羽生さんはこれまでの『ICE STORY』では、基本的にはセリフを自らの言葉で書き、セリフに調和させた情景をイメージしてきたという。ところが、今回は、動作を含めた全てを文字で書きおろしたという。


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