原摩利彦さんの心を突き動かしたもの
会場を包んだ音楽について、原さんが全曲を手掛けてくれるとは想像していなかった胸の内と、原さんとのやり取りを囲み取材の中で明かしてくれた。
「摩利彦さんは本当にお忙しい方なので、当初は全曲というプランではなく、1曲だけでも、2曲だけでも、というつもりでお願いをしました。そうしたら、摩利彦さんが映像のところも含めて『全部、書きたい』と言ってくださいました。わざわざ自分のところだけじゃなくて、映像のところまで全部書き下ろしてくださって。
自分が書いたストーリーに『音色』という色をどんどんつけて、ストーリーを聴覚で感じられるようにしてくださいました。本当に僕自身も滑っていて気持ちいいなというか、書いた原作者として凄くその物語を感じながら滑らせていただいています」
初めてアイスショーの音楽を手掛けた原さんがメディアリリースに記したコメントからは、羽生さんの熱意と“ある動作”が、原さんの心を突き動かしたことが示唆されている。
「最初に羽生結弦さんご本人がこのプロジェクトについて、自ら作成した資料とともにお話してくれました。私の音楽をしっかり聴きこんでくれていたことが伝わり、とてもうれしかったのを覚えています。
何度目かの打ち合わせで、途中までできていた音楽を再生すると、羽生さんはすっと手を上げました。彼の指先が描く曲線を目の前にして、氷上に立ち上がる美しい時間を想像し、きっとうまくいくと自分の音楽に確信が持てました」
『4th』の開催時期はまだ明かされていない。しかし、コンセプトやビジョンは、羽生さんの中ではほぼ出来上がっているという。メンテナンスを経た現状を「まだまだ成長段階なところですけれども、今、急激に変わっているところ」と明かし、「僕自身も楽しみに、これからも滑り続けたいなと思います」と力を込めた。
身体的な進化と、表現領域の拡大が織りなす次回作への期待が高まったカムバックショーとなった。
