2024年11月26日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2014年7月25日

「地域の判断が色濃く反映される」
再生可能エネルギー

 本書では、再生可能エネルギーについても冷静な目で評価しており、私は著者らの考え方に同感である。

 まず、「再生可能エネルギーの経済や地政学は、世界的なものではなく、地域の判断が色濃く反映される」という点。

 私は、再生可能エネルギーの持ち味は地域により異なるのだから、「適材適所」のエネルギーを地域が自主的に選択して組み合わせるべき、と唱えている。

 同様に、本書では「再生可能エネルギーの本質は、単なる『科学技術』の代替手段としてではなく、地域ごとに利用できるさまざまな資源を、これまでにない組み合わせによって、地域分散型のエネルギー・システムをつくり出すことにある」と述べており、我が意を得た気分だ。

 <一部のヨーロッパの都市は、ヨーロッパ共同体の目標を定めた「2020年までの3×20の原則」を超えた取り組みを決定した。それらの先駆的な都市では、スマート・エネルギー・ネットワーク、エコ地区、スマートな住宅や建物が整備され、住民であるエネルギーの消費者は、エネルギーとの新たな関係を体験している。たとえば、同じ風力発電事業計画(あるいは、将来的にはシェールガス事業計画)であっても、産業界や中央政府が押し付ける場合と、そのような事業計画から恩恵を期待できると納得した地域住民が積極的に参加する場合で、様相が大きく異なるようであれば、住民が資金を出し合う「参加型」のエネルギー事業計画(デンマークでは広くおこなわれている形式)が実施されることになるだろう。>

 日本においても、地域によってはその特性に応じてエネルギーを組み合わせ、電力をまかなう「地方分権型」エネルギーのあり方を積極的に模索すべきだろう。

 楽観的ではあるが、「エネルギーの地方分権は、人々の想像力をかきたてる。これは地域の雇用促進にもつながる」可能性があるからだ。

[特集]日本のエネルギー政策を考える

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