2026年5月13日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月13日

 全国的な組織と結束した支持層を持つフィデスに対し、支持が首都の他幾つかの都市に偏る分裂した野党ではどうやっても勝てないはずだった。事実、フィデスは14年選挙以来、50%程度の得票率で3分の2の多数を常に維持して来た。

 オルバンが構築した平らでない競技場で勝つために、マジャールはオルバン追い落としによる政権交替を目標に政党の枠を超えた全国的な運動を起こすことを戦略とし、全国を行脚したとされている。これが成功した。

マジャールの至上命題

 上記の論説は、マジャールが断固として迅速に行動すべきことを指摘している。彼もそのつもりと見受けられる。

 彼は「国民は単なる政権交替ではなく完全な政権交替に投票したのだ」「この国は人質にされていた、乗っ取られていたのだ」と言っている。彼にとっての至上命題は腐敗の構造を解体することである。

 彼は大統領に辞任を求めている。その他、最高裁と憲法裁の長官、検事総長にも辞任を求めている。大統領には法案を議会に送り返す、または憲法裁に合憲性の審査を求める形での拒否権があるので、改革を円滑に進めるにはフィデスの盟友とみられる大統領の交替(大統領は議会が選出する)は譲れないところであろう。

 その他、腐敗のネットワークは大学、国営企業、メディア、シンクタンクにも及んでいる。必要とあれば、議会の3分の2の多数で憲法を改正して障害を除去してでも改革を進めるということであろう。

 ハンガリーの大統領については、従来、議会は単純多数で大統領は職務を遂行し得る状態にないことを宣言出来ることになっていたが、昨年12月10日、オルバン政権は、議会による解任の合法性を憲法裁の審理にかかわらしめ、憲法裁が解任を拒否出来るとする法案を成させた。この規定の改正には3分の2の多数を要する。現在の大統領は元憲法裁長官でフィデスの盟友とみられるが、その5年の任期は2030年まである。

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