2026年5月13日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年5月13日

 この知見をもとに1歳魚の成熟率を20%ではなくゼロ、2歳魚の成熟率を100%ではなく50%。3歳で成熟率100%と仮定すると、親魚量の推定結果が3分の2に減ってしまうと結論付けられている。不確実性を考慮し、「余裕」を持たせた資源管理が必要とされているのだ。

意図的に乱獲を誘発

 マイワシは98年より国内で総漁獲枠(TAC)が設定されていたが、漁獲実績を大幅に上回るもので、実質的に漁獲を制限するものとは全くなっていなかった。資源が低迷していた90~2000年代、漁獲圧は持続的な水準(Fmsy)の2~4倍に達しており、「TACはABC(水研機構の科学者などから勧告される漁獲上限)とはほとんど関係なく決められていた」というのが実態であった(水研機構(2023)、5頁)。こうしたことが組み合わさり「高い漁獲圧によって 2000 年代に資源が減少」したのである(水研機構(2026)、7頁)。

 20年に施行された改正漁業法の下、世界各国および国際的なデフォルトとなっている「最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield: MSY)」という考え方に基づく管理が本格的に導入された。具体的に個々の漁業での漁獲枠設定に関してどのくらいの漁獲圧をかけるのかは、「資源管理基本方針」という農水省告示により決定される。

 太平洋のマイワシについては、「資源がたくさんいるから」という理由から、「資源管理基本方針」で漁獲圧は意図的に持続的な水準(Fmsy)の1.2~1.3倍に設定され、これに基づき国内の総漁獲枠(TAC)が決定されてきた。信じ難いことに、意図的に乱獲(overfishing)を誘発していたのである。

 漁獲圧が持続的水準ぎりぎり(Fmsyの1倍)に漁獲圧が設定されたのは今年になってからであり、TACは66万1000トンと、日本の漁獲実績(25年に56万4922トン)に近いものとなっている。


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