2026年5月13日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年5月13日

急がれる北太平洋全体での資源管理

 とは言え、現状維持では太平洋マイワシの持続的な管理には全く不十分である。先述した通り、日中ロ3カ国の太平洋マイワシの漁獲量は、持続的な水準を遥かに上回っている。

 こうした中で早急に望まれるのは、NPFCの下での資源評価の完成だ。緩慢な措置しかとることができなかった主たる理由として、NPFC科学委員会でイワシの資源評価がまだ完了していないという点が挙げられるからである。

 NPFC条約では、漁獲制限などの措置は「科学委員会のアドバイス」に基づかなければならないと規定されている(第7条)。このため、規制に消極的な国はこの規定を盾に「科学委員会からの資源評価というアドバイスがなければ本格的な措置は導入できない」と主張できてしまう。

 NPFCはルール上4分の3の多数決による管理措置の採択が不可能ではないが、これまではコンセンサス(全会一致)により決定を行ってきたことから、1カ国でも規制措置に強く反対すると、決めることが極めて困難なのである。

 こうした中、今年のNPFCでは科学委員会の下にイワシ小科学委員会を設立することが決定している。NPFCは本部事務局が日本に所在し、日本の研究者・専門家が大きな役割を担っている。日本がリードする形で資源評価を加速させ、来年までに完成させることが期待される。

まずは日本が資源管理を

 NPFCでの資源評価の完成に向けた作業の進展を図りつつ、日本国内での資源管理も加速させる必要がある。水研機構の科学者たちは、「漁獲圧は現状より低めに設定すべき」と勧告している。

 その上で、「NPFC科学委員会での議論の進展を鑑みると、より資源保護的な措置が必要であることが示唆されている。我々はこうした措置を既に率先して実施した。NPFC条約では公海での資源管理は沿岸国の資源管理措置と一貫性を有したものなければならないとしている。従って、資源管理措置を我々が実施している沿岸国並みにステップアップすべきである」と訴えるべきであろう。

 確かに、「外国が十分な規制も受けないでイワシを獲っているのだから、我々も緩い規制で十分ではないか」という理屈は成り立つだろう。しかし、そうしてしまうと、「沿岸国である日本が緩い措置しかしていないのだから、それと一貫する形で、我々公海漁業国が緩い措置をして何が問題なのだ」という理屈も成り立つことになり、誰も資源強化を受け入れない、という状態に陥ってしまう。

 乱獲が放置されれば資源は激減してしまう可能性もなしとしない。そうなってしまえば、誰もが損をしてしまう。まさに「コモンズの悲劇」である。

 幸い、太平洋のマイワシは、現段階では資源の絶対量はまだ余裕がある。余裕のある今のうちに、資源管理策を強化し、未来永劫この資源を持続的に利用する道を確保するように努めるべきではないか。そのために日本が果たし得る役割は大きい。

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