2026年5月18日(月)

教養としての中東情勢

2026年5月17日

 米中首脳会談を終えたトランプ大統領は5月15日、イラン攻撃再開の決断に近づいているようだ。イランが生き残りに自信を深め、譲歩せずに勝てると踏んでいるためだ。

トランプ大統領はイランについて中国の協力を得られず、戦闘再開に舵を切ったとされる(AP/アフロ)

 大統領は中国の習近平国家主席からイラン問題での協力を期待したが、思うような成果を得られず、戦闘再開に向け舵を切った。米・イスラエル軍は停戦の間に準備を完了、早ければ「数日以内」の命令を待つ態勢だ。

追従のトランプ、貫禄の習近平

 2日間の首脳会談を通して目を引いたのは追従とお世辞を繰り返すトランプ大統領に対し、「大国」の指導者として毅然と振る舞う習主席の自信に満ちた姿だった。大統領は会談で「はっきり言おう、あなたは偉大な指導者だ」「本当の友人だ」などと習主席を持ち上げた。歓迎式典に動員された子どもたちにも「心を打たれた」と中国側の政治的演出に感心してみせた。

 これに対し、習主席は台湾問題について、対応を誤れば両国は対立、衝突し、「極めて危険な状態に陥る」と強く警告した。台湾問題は中国にとっては「革新的利益中の核心的利益」で、レッドラインを突き付けた格好。主席はさらに新興の大国が覇権国に挑戦した時に戦争が起こり得る「トゥキディディスの罠」を回避するよう求め、「建設的戦略安定関係」を構築するよう提案した。

 台湾問題が米中首脳会談の席で直接言及されるのは初めてで、「中国が超大国の米国と対等になった」との習主席の自信の表れを象徴するものだ。こうした習主席の発言については国営メディアが会談の最中にも関わらずに速報、中国にとって最優先課題であることを浮き彫りにした。

 今回の首脳会談は両国のデタント(緊張緩和)が継続できるかどうかのテストだったが、両首脳は台湾やイラン問題で決裂を避け、経済関係の強化で一致。トランプ大統領はボーイング旅客機200機、大豆などの農産物、原油・天然ガスの売却というお土産をもらい、メンツを辛うじて保った。


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