結果的にカタールW杯の経験組が13人、未経験の選手が13人という構成バランスになったが、森保監督は”カタール組”がもっと多くなることを想定していたという。確かに膝の怪我で選外となった南野拓実(モナコ/フランス)とメンバー選考の直前に太ももを負傷した三笘薫(ブライトン/イングランド)がいれば、過半数になっていたはずだ。
実は難しいGK選考
前回からもっとも大きく入れ替わったのがGKだ。パリ五輪世代で、3月のイギリス遠征2試合でゴールを守った鈴木彩艶(パルマ/イタリア)を軸に、Jリーグで活躍する早川友基(鹿島アントラーズ)と大迫敬介(サンフレッチェ広島)という構成になっている。
国内外に実力のある選手はいるが、GKは基本的に一人が試合に出続ける中で、練習のルーティーンをハイレベルに維持していく必要がある。下田崇GKコーチは最終的にW杯経験のあるベテランを招集するプランも選択肢にあることを明かしていたが、予選後の代表活動でほぼ固定している3人のまま行けると判断したのだろう。
ディフェンス陣は最終ラインが3バックになることを想定して、センターバックを本職とする選手が7人の大所帯となった。34歳の谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)が中央から守備を統率し、右にオランダで経験を積む渡辺剛(フェイエノールト)、左にドイツ王者・バイエルン・ミュンヘンに所属する伊藤洋輝というファーストセットになりそうだ。そして長期の怪我から復調してきた冨安健洋(アヤックス/オランダ)は優勝を目指す上でキーマンになりうる。
興味深いのはセンターバック陣の多くが、複数のポジションをこなせるマルチなタレントであることだ。昨年一気に台頭して”森保ジャパン”の常連になった鈴木淳之介(コペンハーゲン/デンマーク)は左のセンターバックをメインに、ウイングバック(中盤のアウトサイド)もこなせる。さらに板倉と瀬古歩夢(ル・アーヴル/フランス)は3バックの全ポジションに加えて、欧州で”6番”と呼ばれる中盤の守備的なポジションでも起用が可能だ。
“臨機応変”な戦術を支える心臓部分
現在の日本代表は3ー4ー2ー1というシステムで、左右のウイングバックに中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)や堂安のようなアタッカーを起用しており、彼らが当たり前のように守備でハードワークしながら、攻撃でも違いを生み出すことが強みとなっている。しかし、1点リードして終盤を迎えた時などは相手も攻撃にパワーをかけてくるため、鈴木淳のようなサイドもこなせる守備のスペシャリストがいるのは心強い限りだ。彼は左サイドを持ち場とするが、右は守備的な仕事をこなしながら、推進力のある攻め上がりから正確なクロスを上げる菅原由勢(ブレーメン/ドイツ)もいる。
ボランチ(中盤の攻守を繋ぐポジション)は、圧倒的なボール回収力を誇る佐野海舟(マインツ/ドイツ)とゲームメイク力に優れる鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)を軸に、足首の怪我から驚異的な回復を見せるキャプテンの遠藤航(リバプール/イングランド)、バランスワークに加えてゴール前への飛び出しなど、勝負所の得点力を備える田中という4人の構成になる。遠藤の状態も考えれば、最大8試合を4人で戦うのは不安ではないかというメディアの声もあるが、森保監督はセンターバックの板倉や瀬古も同ポジションで起用できることを強調した。
現在の日本代表は森保監督が”臨機応変”を掲げるように、ボール保持を志向しながらも、守備から攻撃への切り替え、前線からのプレッシング、セカンドボール回収などを駆使して、自分たちよりボールを回す能力が高かったり、攻撃の戦力が高いチーム相手にも我慢強く戦い、勝機を見出せる耐久力と柔軟性を備えている。その心臓部分がボランチだが、基本は佐野と鎌田を軸に、田中が第一の交代選手として攻守の強度をカバーし、遠藤が色々な状況に備えるという構成だ。
