他方、イランは「地域の問題は域内諸国自身が管理すべきだ」と主張してきた。サウジアラビアの構想はそれに合致する上、イランからすれば不可侵条約とはいえ、事実上は、GCC諸国を米国から切り離してその影響下に置くことになるので大歓迎だろう。
ヘルシンキ宣言は東西冷戦という二大勢力が対峙している状況であったから成立したのであり、ペルシャ湾地域ではイランという一強とGCCという弱小同盟の関係であり、根本的に成立する条件を欠いている。
建国250年祭も控えるトランプ
次に、イラン戦争の状況だが、米中首脳会談では、両国は「ホルムズ海峡は開放されたままであるべき」との認識で一致したとされ、トランプ大統領は、「イランとの戦闘終結に向け習近平主席が協力を申し出た」と発言している。しかし、中国外務省は、「イランの核問題等については対話を通じて当事者の懸念に配慮した解決策で合意すべきだ」と釘を刺している。
「ホルムズ海峡の開放」にはイランによる海峡封鎖のみならず米軍の海上封鎖も含まれ、落とし所は、米軍はイランの中国向け原油輸出には目をつむり、イラン側は中国のメンツを立てて部分的な閉鎖の緩和ではないか。
しかも、トランプ大統領は、中国に仲介を頼んでしまったので、今後数週間は大規模な武力行使が封じられたが、ガソリン高騰は解消せず、じりじりと追い詰められ続けるだろう。7月4日には建国250年祭を控えるトランプ大統領は何らかの行動を起こさなければならないので次の緊張の高まりは6月半ばだろうか。

