しかし、彼らがW杯で活躍して人気が高まっても、彼らの所属先は海外のため、Jリーグで“凱旋試合”を観戦できるわけではない。日本のプロ野球がWBC効果で盛り上がるのとは事情が違う。
ただし、リーグとしての世界的なレベルを見ても、日本代表がW杯で勝ち上がるには、選手の海外流出は避けられない一面もある。
朝日新聞がデータサイト「RBREF」を引用した掲載記事では、前回22年カタール大会に出場した選手のリーグ別の内訳では、トップがイングランド・プレミアリーグの134人で、スペイン・ラ・リーガの83人、ドイツ・ブンデスリーガの77人、イタリア・セリエAの65人、フランス・リーグアンの55人と欧州の「ビッグ5」が続き、6位はMLSの36人だった。Jリーグ所属選手は海外選手を合わせても8人にとどまった。
Jリーグからまずは欧州のリーグへ移籍し、将来的には欧州の「ビッグ5」へ羽ばたくことが現状の理想的な形にもなっている。
こうした現状を、岸名記者の記事では「Jリーグの役割はアマチュアの選手をプロにする孵化(ふか)器にとどまり、卵からかえったヒナを大きく育てるのは海外クラブにお任せしている」と指摘する。
それでも収益を拡大するJリーグ
一方で、森保監督が会見冒頭でJリーグやクラブ、関係者への感謝を口にしたように、Jリーグがなければ、競技のすそ野はここまで広がっていない。いまやJ1からJ3まで60のクラブが全国にあり、トップレベルの選手育成だけでなく、小学生年代のアカデミーでは競技人口の普及にも大きく貢献している。
実際、国内のサッカー人気は上昇し、25年シーズンのJリーグ全体の年間総入場者数は過去最多となる1300万人を突破し、J1の平均入場者数も初めては2万1000人を上回った。Jリーグは5月26日に開示したJ1~J3の53クラブ(3月、6月決算の7クラブを除く)の25年度経営状況では、38クラブが増収となり、全体の売上高も過去最高の約1757億円と好調だった。
93年のリーグ発足当初は海外のスターを「ジャパンマネー」で集めたJリーグだったが、現在は理念でもある地域密着が浸透し、日本のスター選手が海外へ移籍していっても、新たな選手を育成しつつ、市場を切り開いてきた証左でもある。
日本国内のプロリーグでありながら、日本代表がほぼ不在といういびつな構造にあるJリーグ。今年からは欧州と同じ「秋春シーズン」へ移行し、日本国内からの移籍に拍車がかかるとみられる。
「日本代表」と「Jリーグ」が依存することなく、互いの軸で成長させていくモデルが、日本サッカー界の現実的な路線といえるだろう。
