ネオコン(新保守主義者)も、「アメリカ・ファースト」派(アメリカン・ファースター)も、どちらも愚かに見える。前者はまたしても判断を誤った選択戦争を支持したし、後者はトランプを信用した。
しかし大国中心のリアリストもまた苦しい立場に置かれている。確かに中国はプーチンとトランプの失策から利益を得ているが、最終的な勝者として浮上しているのは中規模国家だ。
米国の中東への支配力は崩壊した。イランは恐らく、中東地域で有力な地域大国として浮上するだろう。ウクライナは、ポスト・アメリカのNATOの重要なパートナーとなるはずだ。
ウクライナとイランは、全く異なる方法なるも、「如何に巨人を屈服させるか」を世界に示している。かかる教訓を熱心に研究しているのは、台湾だけではない。
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世界の危機は指導者のリスク
ルースはこの論説で、①プーチンとトランプは夫々ウクライナとイランで「強力な手札を無駄にした」、②「どちらの戦争も“選択の戦争”だった」、「両者とも、自ら作り出した罠から逃れることができない」、③「トランプから“お前にはカードがない”と言われたゼレンスキーが、“技術革新のカードの束”を手にしている。ウクライナは、新たな交渉力を得た」、④「幾つもの思想学派が信用を失っている」(ネオコン、MAGAの他リアリストも)、⑤中国はプーチンとトランプの失策の最大の受益者だが、「イランは恐らく、中東地域で有力な地域大国として浮上するだろう。ウクライナは、ポスト・アメリカのNATOの重要なパートナーとなる筈だ」と言う。小気味よい議論である。
ルースは、イラン戦争とウクライナ戦争を米露という大国の地政学的失敗と同時にイランとウクライナという中堅国家の浮上と見る。中国がプーチンとトランプの失策の最大の受益者だが、「最終的な勝者として浮上しているのは中規模国家だ」と言う。
確かにその面はあるだろう。しかし、もうひとつ、それは冷戦後の米露という核大国の増大する横暴(国際秩序の弛緩)とプーチン、トランプという指導者個人の失策(冷戦時代には余り見られなかった)の側面に強く印象づけられる。
今後増大する世界の危機は、指導者のリスクではないだろうか。プーチンやトランプがいなかったならば、今のような世界にはならなかったとも言える。
冷戦後漸くより平和になったと感じられた世界は、特に大国における分断化する政治や加速度的に情報化する社会を通じて、人間の歴史を十分に理解しない扇動的、独裁的指導者の出現を許し、戦後の世界秩序の後見人になるはずだった核大国、特に米国が他国に対し不当な要求を突きつけることを厭わず、自己利益のために一方的に武力行使をする、そして失敗する酷い世界になっているのではないか。
