そこで大事なのは、中堅国家の指導者が団結し、核大国の横暴な指導者を抑制することだろう。トランプの時代は、振り子がバランスを回復するための前の時代になるのかもしれない。全く新たな時代が到来すると言うよりもグローバル・ガバナンスを強化した元の時代に戻るのではないか。
それ以外にベターなシステムはないように思える。早計に「中堅国家の時代」が到来するとも言えないのではないか。
「力」の中身の変化
ルースは、これまでの国際政治の種々の思想学派が失墜しているという。ネオコンやMAGAの他に、「大国中心のリアリスト達もまた苦しい立場に置かれている」と言う。
ルースは、力を基礎とするリアリストの考えによれば、ウクライナやイランが圧倒的な力を有する米露に立ち上がって戦っていることを上手く説明できない、と言いたいのかもしれない。しかし、力の概念や勢力均衡、抑止の考え方は引続き重要だ。
変化があるとすれば、ドローン等の登場により抑止力の中身としての通常戦力、しかも実戦力の重要性が増しているということだろうか。米露とも、ウクライナやイランのドローン等の通常戦力を過小評価したのだろう。非核国に対する核の抑止力が相対的に下がっているということだろうか。
最近、米国が同盟国に国内総生産(GDP)の何%の国防費の増大を頻りに要求しているのは、奇妙なことである。これほど大雑把で、不正確な議論はないのではないか。
問題にされるべきは、中身ではないか。トランプの同盟国への要求は余りに修辞的(レトリカル)に過ぎる。
