2026年6月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月22日

 第三に、停戦が効力を発すれば、ウクライナには2025年12月のベルリンおよび26年のパリでのコミットメントを踏まえて、強固で法的拘束力のある安全の保証が与えられねばならない。これにはウクライナ多国籍軍(Multinational Force – Ukraine)の展開が含まれる。

 第四に、ロシアの資産は、ロシアがその侵略戦争を停止し戦争で生じた損害をウクライナに補償するまで凍結状態が継続する。

 第五に、欧州の安全保障の利益は如何なる合意においても保護されねばならない。欧州連合(EU)とNATOに関係する如何なる交渉の要素もそれぞれEUとその加盟国およびNATOの同盟国の同意を必要とする。

 首脳達は、26年6月4日のゼレンスキー大統領のロシア大統領宛の書簡に記されているように外交的手段によって交渉された戦争終結を求める同大統領の要請を称賛した。彼らは、停戦の実現とさらなる交渉のためのウクライナとロシアの直接的な対話――能動的な米国と欧州の参加を得た対話――の提案を支持した。彼らは今後ともウクライナを確固として支持して行くことを確認した。

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和平交渉への欧州の参加

 6月7日、英国の首相官邸で英・仏・独の三首脳がゼレンスキーを交えてウクライナ問題について会談し、上記の共同声明を発出した。共同声明はメディアでは注目されていないが、それなりに有益な文書である。

 共同声明から何が読み取れるか? それは近い将来あるかも知れない和平交渉に欧州が参加することへの強い関心である。

 共同声明は「欧州がウクライナの確固たる支持者として如何なる解決においても演ずべき重要な役割を有している」ことに言及している。武器支援および財政支援(最近では900億ユーロの無利子融資)においても、欧州はウクライナ支援の主要な役割を担うに至っており、交渉への参加は欧州にとって当然のことである。

 米国を押しのける意図ではなく、米国とともに交渉に参加することがその意図とみられる。欧州はこれまでトランプとゼレンスキーの間の軋轢の表面化に際しウクライナの立場を慮った潤滑油の役割に甘んじて来たのであるから、実現すれば画期的なこととなろう。米国の対ロシア・ウクライナ政策が欧州の利益に合致する保証は無いのであるから、欧州は関与せざるを得ないということでもある。


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