2026年6月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月22日

 欧州の関心の背景には、戦場におけるウクライナの成功がある。ドローンによるエネルギー施設・軍事施設などを標的とする遠距離攻撃の効果もあって、ウクライナはロシアに多大の損害を課し、進撃を阻止し、一部領域を奪還するなど成果をあげている。

 欧州としては今後とも制裁の強化によってロシアに対する圧力を強化しつつ交渉に備えたいということであろう。交渉に臨む欧州の立場は、この共同声明に過不足なく記されている。

挑発的なゼレンスキーの書簡

 ゼレンスキーも、戦場での成功が交渉への突破口となる可能性を探っている様子である。6月4日付のプーチン宛公開書簡でゼレンスキーはプーチンとの直接交渉を提案したが、その中でウクライナが安全の保証を必要としていることを指摘して、欧州も米国と並んで交渉の参加者となるべきことを述べている。

 しかし、ゼレンスキーは、プーチンが直ちに交渉に応ずる可能性があると思えば、このような書簡は書かなかったであろう――ロシア軍がドンバス全域を制圧出来ないとプーチンが納得するのはまだ先のことと彼は読んでいる模様である。

 書簡は挑発的である。「サンクトペテルブルクでの貴方のフォーラムの開始に際し、我々の長距離ドローンが1000キロを超える距離を飛んでお訪ねしたが、ウクライナ国民の圧倒的多数がこれを積極的に捉えている。ご承知のように、距離は我々の能力の限界ではない」と書いている。「貴方は過去26年とは違い、ロシア国民の忠誠を買い続けるために必要なカネも政治的資産も持たないことになろう」と余計なことも書いている。

 戦場の成功で自信を得たのか、ゼレンスキーは、それが交渉の実現に役立つかも知れないとの思惑から、この長文の書簡でロシア国民の前にプーチンを愚弄して見せることを狙いとしたのかも知れない。

 現状は、トランプはイラン戦争にかまけてウクライナ問題に関心を失ったかの様相を呈しているが、過去のトランプの振る舞いは彼に和平交渉の仲介を独占させることの危険を示している。欧州とウクライナの利益を守るために、交渉への欧州の参加を確保することは不可欠のことである。

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