2026年7月1日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月1日

 23年、新興野党の台湾人民党は、徐を立法委員候補として擁立することを検討したが、反対派から彼女の資格や中国への渡航経歴が疑問視され、彼女は立候補を辞退した。彼女は、中国からの指示を受けているという非難を否定した。

 「台湾社会がこのように分断されるべきではないと思います。出身地で区別すべきではありません。ここに来て台湾を愛するならば、その人は台湾人なのです」と、徐は語った。起訴状によると、徐と中国当局とのメッセージでは、彼らが徐や他の中国からの移住者を台湾の立法委員にしようとしていたことが示唆されている。

 今年初め、台湾人民党の議員として立法機関に短期間在籍した中国本土出身の女性・李貞秀をめぐり、変わった論争が巻き起こった。李はスパイ活動や犯罪行為で告発されたわけではない。台湾当局は、「李は中国での居住権を放棄していなかったため、公職に就く資格がない」と主張した。

 これに対し李は、「台湾当局は、中国からの移住者が選挙の資格要件を満たすことを事実上不可能にしている」として反論した。その後、李は党幹部との対立から党を除名され立法委員の職を解かれた。

* * *

強化される台湾工作への法律

 この論説が指摘している通り、対台湾工作を強化する一環として、「大陸配偶者」(約26万人)は中国にとって活用しやすい対象であり、逆に民主主義の台湾当局にとって特段の配慮を要する対象であるのは間違いない。

 台湾は20年1月「反浸透法」を施行した。この法律により、中国が台湾の協力者を通じて選挙活動や社会に浸透することを抑止することが可能になった。報道によると、台湾大陸委員会は、「中国の浸透行為により起訴された人数は、22年28人、23年86人、24年は168人である。中国は台湾の政党へ浸透する際、摘発リスクの高い直接潜入ではなく、地方選挙の立候補者や選挙支援者の取り込み等間接的な手法を用いる」と説明した。

 本件法律制定の際、推進する民進党に対して、国民党は、自由を侵害するとして強く反対した経緯がある。現在も国民党は、この「反浸透法」に否定的であり、議会は28年末まで野党国民党が有利な状況であることから、同法が改正される可能性もあり得る。

 また、台湾には「反浸透法」に加え、87年に成立し22年に改正された「国家安全法」がある。これは「軍事機密漏洩罪」に加え、「経済スパイ罪」を新たに設けて、半導体等の先端技術漏洩を厳しく取り締まるものである。台湾の情報機関・国家安全局によると、24年に64人が起訴された。


新着記事

»もっと見る