「グループリーグ敗退」だけでは語れない大会
3試合3分け、数字だけなら決して目立つ成績ではない。しかし、その背景を知れば、この勝ち点3の価値はまったく違って見えてくる。
通常であれば、十分なリカバリー時間があり、スタッフがコンディションを整え、分析担当が対戦相手を研究し、ロジスティクス担当が移動を支える。イランには、その多くがなかった。
毎試合のように国境を越え、長距離移動を繰り返し、十分な休養も取れない。それでもニュージーランド、ベルギー、エジプトを相手に一度も敗れなかった事実は、イラン代表の組織力と精神力の高さを証明している。もちろん勝負の世界は結果がすべてであり、決勝トーナメントへ進めなかった現実は変わらない。
それでも、政治情勢という選手たちにはどうすることもできない問題を背負いながら、最後まで世界と互角に戦い続けた姿は、多くの人々の記憶に残るだろう。タレミが「最悪のワールドカップ」と断じた背景には、決して言い訳では済まされない現実があった。
しかし彼らのピッチ上での戦いぶりは見事だった。わずかな差で夢は途切れた。だが、逆境の中で一度も敗れることなく世界へ誇りを示したイラン代表の戦いは、単なる「グループリーグ敗退」という一行だけでは決して語れない。

