グループ内が強く結束される三菱
三菱グループは、明治初期に岩崎弥太郎が海運業で成功したのを契機に多くの企業群を発展させてきた。中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、三菱重工業などは、日本を代表する巨大企業として存在感を発揮している。
三菱の最大の特徴は、まさに「強い組織力」にある。強固なピラミッド型の組織構造を持ち、グループ全体の結束を固めている点が強みである。著者はこう記す。
グループ内には「三菱」の名を冠さないキリンホールディングスや明治安田生命などの有力企業も多数存在する。これらの企業の多くがかつて「三菱村」と呼ばれた東京・丸の内一帯にオフィスを構えており、このエリアの土地や建物を広く所有して“丸の内の大家”の役割を演じているのが三菱地所である。
徹底した実力主義の三井
一方三井グループのルーツは、江戸時代の「三井越後屋」にまでさかのぼる。他の財閥と同様に、戦後の財閥解体を経て出直した歴史を持つが、個々人の実力や組織人材の優秀さがグループの原動力となっている。
三菱が堅固な組織とするなら、三井は「独立独歩」の気風の強い企業が集まる緩やかな連帯という性格が強く、その中でリーダーシップを発揮してきたのが三井物産であった。
第二次世界大戦後、三大財閥はGHQ(連合国軍総司令部)の指令によって解散を命じられた。三井物産は、解体時に約200社もの新会社に分割されたため、グループとしての再結集や再生には多大な時間を要した。そうした苦境の中で、「人」の強みを活かしてグループの再生を果たした歴史がある。
本書では、三井物産の徹底した実力主義を示す興味深いエピソードとして、次のような史料が紹介されている。著者はこう記す。
年功序列や情実でなく、個人の力量で判断するこの仕組みは、徹底した実力主義であり、「人の三井」を担保していると言える。
