2026年7月5日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2026年7月5日

生活や産業の土台を支える住友

 そして「結束の住友」とされるのが住友グループである。本書では住友の紹介にあたり、「浮利に走らず」(目先の利益を追わない)、信用を重んじる「信用第一」という理念を有名な住友の家訓(住友精神)から説き起こす。

 住友のリーダーたちは、社会の基盤となる生活や産業の土台を支えるために不可欠な存在であることを常に強く意識してきたという。中でも住友商事は、戦後の1945年に商事活動に進出し、現在の会社になったのが52年と他社に比べて遅いスタートだった。住友商事にはこんなエピソードがある。

 住友グループには、江戸時代からその伝統として商業(商事)を禁じてきた歴史があり、戦後に住友商事が発足する際には、グループ内で5時間以上にわたる激しい議論が交わされたという記録があります。
 この家訓が強く根付いた結果、住友商事は他の商社のような投機的・積極的な行動を厳しく制限し、社内からは「経営陣はもっと冒険心を」という突き上げがあったほどです。

 こうした堅実な社風ゆえに、他のライバル商社がひしめく資源分野などで苦戦したが、近年の積極的な投資戦略は大きな注目を集めている。

 一方、住友のルーツが「別子銅山」(愛媛県新居浜市)の鉱山操業にあったことから、住友化学や住友電気工業、住友金属鉱山など、グループ内には素材・材料関連の多くのリーディングカンパニーが名を連ねる。住友の名を冠していない企業でも、日本のモノづくりや先端技術のサプライチェーンを支えているのが住友グループの強みといえる。

「ザ・JTC」の姿

教養としての三菱・三井・住友
山川清弘著、飛鳥新社
¥1,900 税込

 旧3大財閥グループに属する中核企業だけでも30社を優に超え、それぞれが日本経済、さらには世界経済に大きな影響を与えている。

 本書を通じて各財閥グループの特徴や企業風土の違いを体系的に知ることができる。近年、保守的な日本の大企業を指す「JTC」(Japanese Traditional Company)なる言葉がよく使われるようになったが、旧3大財閥グループの企業は強い収益基盤やブランド力などを備えた良い意味での「ザ・JTC」であろう。

 旧財閥グループを知ることは、日本の戦後経済史を理解することでもある。ビールの銘柄をはじめとして各グループにまつわる知識を理解しておくことはビジネスパーソンの基本であり、知っておいて決して損はないお作法である。                  

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