また、インドが中東から調達しているエネルギー資源は、原油だけではない。家庭用ガスとして使われる液化石油ガス(LPG)の主成分であるプロパンやブタン、石油化学製品の基礎原料となるナフサ、火力発電用燃料として使われるLNGも、中東産油国から輸入している。
中でも、UAEからの調達が際立っている。25年時点で総輸入量に占めるUAE産のシェアは、原油が10%、LNGが12%、プロパンが40%、ブタンが39%、軽質ナフサが66%、重質ナフサが52%に達した。
原油とLNG・石油製品で明暗
ホルムズ海峡危機を受け、インドのエネルギー調達環境は大きく変化した。UAEやサウジアラビアは、同海峡を迂回できる輸出港を活用した原油輸出に注力しており、両国からの原油輸入は攻撃後も継続している。一方、従来の主要調達先であったイラク、クウェート、カタールからの原油輸入は激減した。
カタールとUAEからのLNG輸入は、ホルムズ海峡危機後に急速に縮小している。カタール産は26年2月に112万トンだったが、3月には13万トンへ急減し、4月にはゼロとなった。UAE産も2月44万トンから3月19万トンに減少し、4月には途絶えた。
インドのLPG調達も、ブタン・プロパンともに3月以降大きく落ち込んでいる。ブタン輸入量は2月110万トンから3月48万トンへ半減し、プロパンも104万トンから3月51万トンへ減少した。カタールやクウェートのみならず、最大の調達先であるUAEからの輸入も減少傾向にあり、急減している。
LPG不足はインド経済に悪影響を及ぼしている。インドは世界第2位のLPG輸入国で、消費量の約6割から3分の2を輸入に依存し、その大半を中東から調達してきた。政府は代替調達先の確保や国内生産の拡大を進めているものの、LPGは家庭用の重要な調理燃料であり、供給制約が続けば家計負担が増す可能性がある。また、価格抑制や安定供給に向けた対応が長引けば、政府の補助金負担も拡大しかねない。




