学童で触れる社会の動き
神奈川県相模原市にある民設民営の学童保育所「学童保育みらいく」は、入所児童に各種の活動機会を用意しています。スポーツ観戦、遠足、時には寺での座禅まで、バラエティー豊かな所外活動を実施しています。まさに体験の宝石箱。代表の安西俊一さんはこう説明します。
「遠足も座禅体験もそうなのですが、子どもたちが将来、学童で過ごした小学生時代を振り返ってみて、『寺に行ったなぁ』『あのとき、うるさくしてアンジー(安西さん)に叱られたよなぁ』等々、思い出として残っていると思うのです。あの子たちが親になったとき、自分の子どもに『うるさくしたら叱られるのは当たり前。ちゃんとしようね』と言えるようになれば、こちらとしては大成功です。座禅体験は2時間ですが、引率するこちら側も驚くほど、凛とした時間となる。『やってよかった』と思いますね」
安西さんは学童の子どもたちと出かける時は基本、公共交通機関を使っているといいます。昨今は移動時の安全確保も踏まえてバスを借りて移動する学童事業者が多いですが、「みんなで電車に乗ったり、バスに乗ったりすることは、移動時にあらゆる場面で社会性が問われます。学童ならではの、異学年の大人数での移動や遠足は、家庭でも学校でも味わえない、唯一無二の経験になるのではと思っています」と安西さん。「体験経験の機会」を用意しているのです。行先は横浜、小田原、箱根湯本、江の島などで、結構な距離を移動していくのは、確かに子どもたちには得難い経験です。
もちろん、所外活動をしていない通常の夏休みの日々は、子どもたちが職員と関わりあいながら、遊びや勉強に取り組みつつ過ごします。その日常の日々で積み重ねていく出来事もまた、子どもたちには大切な体験であり経験となっています。
ただ、平日はずっと学童で過ごすという子育て世帯が多い中で、家族が一緒に過ごす機会が週末に限られる場合、親子での体験や経験をどう考えたらいいのでしょう。
「公共の施設や公園でいいのです。子どもからの感想では、体験や活動にお金をかけなくても『釣り堀で魚を15匹釣った!』『アイスを食べたら口がアイスまみれになった!』など、お金をかけていなくても、親子で過ごしたその時間の『質』が良ければ、子どもの良い体験、思い出づくりに十分寄与できると感じます」(安西さん)
親子で過ごす時間の「質」とは、親子で過ごせる時間の長さではなくて、どれだけ親子の間でコミュニケーションが取れるかどうかが大事だ、ということです。日常的な会話、運動やスポーツ、スキンシップなどで親子が関わり合いながら家族で濃密な時間を過ごせれば、それが子どもにとって忘れられない体験となるのです。
