2026年8月5日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月5日

 米国の圧力はすでに影響を及ぼしており、1月、パナマ最高裁は、パナマ・ポーツ・カンパニーとの契約を違憲とする判決を下した。ムリーノ大統領は、新たな契約の入札が行われるまで、これら港湾の運営を欧州企業2社に委ねた。昨年、トランプがホワイトハウスに復帰した直後には、パナマは中国の国際的なインフラ投資構想である「一帯一路」からも離脱した。

 パナマとその運河管理当局は、今後数年間、難しい舵取りを迫られることになるだろう。彼らは、より強い支配権を求める米大統領と、自国の利益を損なう相手には厳しい態度をとる中国政府との間で板挟みになっているからだ。

 中国は、トランプをなだめるためのパナマの動きに対し報復し始めている。3月には、中国の港で出港停止された125隻の船舶のうち91隻がパナマ船籍であったが、その数は4月には136隻にまで増加した。米当局者によれば、こうした措置が終わる気配はなく、中国はパナマに痛手を与えようとしている。

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強まる米中の対立

 この解説記事では、イラン戦争の影響でパナマ運河の重要性が高まっているが、他方で、気候変動による水量不足で同運河の運用に障害が生じており、また、特に米中の対立の中で板挟みの状況に置かれるという地政学上の困難を如何に回避するかが深刻な課題となっていると分析している。

 後者の問題がより深刻で、トランプのパナマ運河返還要求や、特に中国のパナマに対する報復措置は、同国の今後の経済発展や世界最大の船籍登録国の地位を揺るがしかねない可能性があり、また日本を含むグローバルな海上物流に悪影響が及ぶ可能性があり、要注意である。

 トランプのパナマ運河を取り戻すという主張は、単なる理解不足によるだけではなく、実際に武力や強制力を用いることは現実的ではないので、交渉により米国が運河に関してより良い待遇や利益、あわよくば管理権を得るための恫喝戦略ではないかとも思われる。

 トランプは、その根拠として中国がパナマ運河を支配しているなどと主張していたが、1月のパナマ最高裁の判決で中国系港湾管理会社との契約が無効とされ、米国側の意向に沿う結果となった。解説記事はこれが米国の圧力の影響であるとしているが、外見的にそう見えても、これは国家主権が外国企業との契約により不当に制約されないための必要な基準や手続きが守られていなかった契約は違憲というパナマ最高裁の経済ナショナリズム的な傾向によるものだ。


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