2026年8月5日(水)

解剖:「大きな政府」を好む日本

2026年8月5日

社会保障目的税という説明の限界

 これまで消費税は、消費税法上も社会保障施策に要する経費に充てるものとされ、年金、医療、介護、子育て支援を支える財源として位置づけられてきた。幅広い世代が負担する消費税によって社会保障を支えるという説明には、制度上の根拠がある。

「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」についての会見を行(首相官邸HPより)

 だが、消費税を社会保障目的税としてだけ語ることには限界がある。その説明は、税を市民が社会を支えるために引き受ける負担としてではなく、国家が財源を確保するための手段として見せてしまう。

 社会保障への不信が高まれば、消費税への不信も高まる。給付の中身に納得できなければ、税そのものが拒否される。

 税は本来、国家だけのものではない。税は、市民が自由に働き、取引し、暮らし、互いに支え合う社会を維持するための負担である。

 消費税もまた、社会保障のためにだけ存在するのではない。より広い市民社会の土台に関わる税として、捉え直されるべきである。

消費税は社会の土台を支える負担である

 税を市民の側から捉え直すなら、消費税は社会保障目的税ではない。消費税は、市民が自由に働き、取引し、消費し、暮らしていくための土台を、社会全体で支える負担である。いわば、市民的共通負担である。

 ここでいう土台とは、市場取引を可能にする法秩序、契約への信頼、通貨、決済、インフラ、教育、治安、防災、行政サービスなどを含む。市場は自然に存在するものではない。自由に働くこと、安心して取引すること、将来を見通して消費することは、その背後にある公共的な条件によって支えられている。

 消費税は、所得を得た者だけ、資産を持つ者だけ、企業活動を行う者だけに課される税ではない。日々の消費と交換を通じて、市民が経済社会の共通基盤を広く支える税である。その意味で、消費税は単なる国の財源ではない。市民が自由な社会を維持するために引き受ける共通負担である。

 このように捉え直せば、消費税は単に「取られる税」ではなく、市民が社会の土台を自ら支えるための税として見えてくる。だからこそ、その時々の政治判断で税率を軽々に動かすべきではない。


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