このようにバンド4に昇格したことで、国内リーグでの出場実績やチームの成績に与えられる点数が軒並み底上げされ、J1で優勝を争うクラブの主力選手であれば、代表の実績がなくとも、Jリーグでの実績だけでGBE取得ラインの15点に到達できる水準にまで達する。プレミアリーグへ直行できる制度上の道が開かれたのである。これは画期的なことだ。
今後はJリーグの試合を見る時、選手がプレミアリーグに直行できることになるのかもしれないという目で見られるかと思うと痛快である。また、海外のスカウティングの目が、Jリーグに向けられる可能性も出てきた。
さらに、今回の昇格はJリーグ自身が抱える深刻な課題にも光を当てる。各国との有望な外国人選手の獲得競争において、急速に進んだ円安により、Jリーグ各クラブの資金力は、豊富なオイルマネーを背景とする中東勢クラブに大きく見劣りするようになった。
しかし今回のバンド4昇格は、この苦境に一つの活路を示唆する。中東のリーグとは違い、Jリーグが「欧州へ直行できる実質的な登竜門」としての価値を持ち始めたからだ。獲得競争で「金額」では勝てなくとも、「その先の欧州行きの近さ」という別の基準で選ばれるJリーグになれる可能性がある。
バンド4昇格は通過点
次なる戦いは始まっている
もちろん、これはJリーグ全体を通底する万能の変化ではない。Jリーグ中位以下のクラブに所属する選手や上位クラブでもフル出場できない選手にとっては、依然としてオランダやベルギーのリーグを経由する必要がある。また、GBE取得はあくまで就労ビザという「必要条件」を満たすに過ぎない。実際の移籍が成立するかどうかは、欧州クラブの実際の評価と交渉次第である。
今回のバンド4昇格は一国の行政機関が実務上で下した冷静な判断である点に重みがあり、W杯直後の7月に17位になったFIFAランキングとは別の角度で、日本サッカーの国際的な地位向上を示すものだった。筆者は通商産業省勤務時代の1989年から日本サッカー協会のプロ化検討委員会にオブザーバー参加し、Jリーグの立ち上げに携わっており、深い喜びを感じる。
しかしながら、これはあくまで通過点である。真に目指すべきは、まずはバンド3、その先に5大リーグ一歩手前のバンド2への到達だろう。そのためには、Jリーグのプレーの強度をプレミアリーグに遜色ないレベルに高めていくための地道な努力が欠かせない。
各クラブの育成年代を支えるアカデミー関係者、そして試合の質と信頼性を担保する審判の育成に携わる関係者─こうした方々のこれまでの地道な貢献の積み重ねに敬意を払いつつ、Jリーグのさらなる飛躍を願いたい。

