データセンター反対を打ち出す候補者
11月3日の中間選挙では、36州と3準州の知事、下院全435議席、上院100議席の内3分の1(今回は35議席)が改選される。州議会選挙が実施される州もある。
多くの候補者は、現職、新人を問わず物価問題への取り組みを打ち出している。その中でデータセンター新設の抑制が上がっている。
多くの州は、データセンター誘致のため、例えば州税である消費税を設備購入あるいは電気料金に関し免除、固定資産税減免などの政策を打ち出していたが、全米一のデータセンター銀座バージニア州をはじめ多くの州で見直し、あるいは凍結が検討されている。今年になってからデータセンター新設を禁止、制限する郡、市は急増し現在530を超えている。
改選を迎えるニューヨーク州の民主党ホークル知事は、7月に5万kWを超えるデータセンターの新設を最長1年間停止する知事令を発出した。温暖化目標も先送りし電気料金を抑制する構えだ。
トランプ大統領は、今年7月のスピーチで「データセンターに反対する人も何人かいるだろうが、どうして反対するのか分からない。地域社会と州は豊かになる」とデータセンター導入を促している。
共和党からは、中国がAI競争に勝つため反対派を支援しているとの声もあがるが、データセンターのメリットを訴えても、票をつかめないと反対の立場を鮮明にする候補者も出ている。
共和党上院議員全国委員会は「地域住民の投票で承認され、電気、水道などを自費で賄う場合のみデータセンターの建設を認める共和党候補が、民主党候補よりも支持を集める可能性がある」とのメモを出したと報じられ、条件付きでの新設を推進する立場を明確にしている。
しかし、4選目を目指す共和党アボット・テキサス州知事は、全米2位の335のデータセンターを持つ同州をAI開発の中心地と称していたが、8月にデータセンターへの優遇策の撤廃、送電網への接続の一時停止を指示した。
トランプ大統領は不満をもらしたが、知事は「知事の最優先事項は州民の安全と生活の質を守り、電力と水道供給の健全性の確保」としている。
日本は生成AIに取り組めるのか
データセンターはもちろん生成AIの利用を支えるための設備だ。GAFAMを中心にAI関連企業は、手持ち資金だけでなく社債などで調達した巨額の資金もAIとデータセンターに投入している。
今年の調達額は6000億ドルから1兆ドルに迫るとの見方もあり、巨額の投資を伴う生成AIから投資に見合う収益が得られるか疑問との見方がある。金利上昇も招いているが、金利が上昇すれば、さらに高い収益率が必要になる可能性もある。
バブルの声があるにせよ、データセンター反対の運動があるにせよ、生成AIが生産性を改善し成長を生み出すのは間違いないだろう。やがて米国から日本にもデータセンター建設が広がってくる。その時に、日本は十分な発電設備を用意できるのだろうか。
米国は原子力発電の利用、SMR、豊富な天然ガスを利用した火力設備、日照、風況に恵まれた地区での再生可能エネルギー設備新設と、電力供給増のためできることは何でもやっているようだ。それでも、発電設備が不足する可能性がかなりある。
日本の現状はお寒いばかりだ。将来の電力市場の予見性はなく、収益の見通しも立たない中で、事業者は大型発電設備の新設に踏み切れない。
このままでは、日本で大型データセンターの建設はやがて行き詰る。米国のように反対運動が起きる余地すらなさそうだ。まず、電力供給を確保しなければ、生成AIの利用は広がらず、取り残された国になる。
