2026年9月7日(月)

World Energy Watch

2026年9月7日

雇用が増える仕事は何か

 ゲイツは、アルツハイマー症だった父親を例にあげ人間味が必要な仕事をAIに任せることは難しいと指摘し、人間が担う領域を作り一部の仕事を保護し年月をかけてAIを導入すべきと提唱している。医療介護はその典型だろう。

 米国政府が予想する今後雇用が増える産業でも医療介護は2位に登場する。米国でも進む高齢化社会の反映で、AIへの移行とは直接の関係はないかもしれない。

 1位は、生成AIを支えるデータセンターに電力を供給する電力産業が主体の公益事業だ(図-4)。電力産業だけの雇用の伸びは、13.1%と予想されている。

 電力産業の雇用者数は多くないので、雇用者数の伸びでは、医療介護分野が圧倒している。10年間の雇用者数の伸びは220万人。35年の総雇用者は2550万人と想定される。

 職種別の雇用の伸びは図-5の通りだ。医療関係の仕事が多い。太陽光発電工事と風力発電保守の仕事が上位にある。トランプ大統領が再生可能エネルギーに関する補助金を打ち切る中で成長するのには理由がある。

 データセンターの急増を支えるには発電設備の増設が必要だが、工事期間が比較的短い天然ガス火力用のガスタービンは注文が殺到し4年待ちだ。短期間で設置可能な発電設備は、太陽光と陸上風力発電だ。発電が不安定な状況を補うには蓄電池を設置すれば良い。

 というわけで、今年の発電設備導入容量は史上最高の8600万キロワットに達する見込みだが、半分は太陽光発電設備が占める(図-6)。データセンターの需要に応えるためには可能な発電設備は何でも作る時代だ。

 増える仕事の賃金は、総じて高い(図-7)。AI時代の仕事にはスキルが必要だからだろう。

日本でも起きる雇用問題

 生成AIによる雇用問題は日本の課題でもあるが、米国との大きな違いは、日本では人口減少社会の中でAIの利用を考える必要があることだ。

 例えば、少子高齢化が進む日本社会では米国のように医療介護分野で雇用を増やすことは難しく、フィジカルAIも利用せざるを得ない。

 ゲイツをはじめ多くの識者が指摘する通り、AIの影響をまず受けるのは、知識や能力をいまだ持たない若い人たちだ。若年層への影響を緩和するため、時間をかけたAIの導入や、人間が担うべき仕事を考えるべき時期かもしれない。

 さらに、AIを使いこなす若年層への教育も重要だ。AI社会移行に伴う体系的な政策が必要なようだ。

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