マンションが高い6つの理由
その理由として、以下のことが考えられる。
1. 都心への人口集中と“職住近接”ニーズの高さがある。共働き高所得世帯(パワーカップル)が駅近・都心マンションを強く選好する一方で、世帯人数の減少により広い戸建てへの需要が減少している。
2. 延床面積70平方メートル(㎡)の戸建ては高級住宅とは考えにくいが、高級マンションの中の70㎡の住戸は高級住宅とされる。高級な雰囲気の中で住みたいニーズがある。
3.土地も同じだが、マンション特にタワマンには、相続税の節税策としての価値もある。タワマンの時価と相続税評価額との差が大きいので、借金してタワマンを購入すれば相続税を減らすことができる(もちろん、やり過ぎれば税務署から追徴される)。
4. 海外投資家をはじめ投資商品としての需要増がある。戸建ては投資対象になりにくく、海外マネーの影響を受けにくい。しかし、価格が高くなっても賃貸需要が増える訳ではないので必ずしも家賃が上がる訳ではない。
5.中国の富裕層が、海外に財産を移しており、その一部が日本への不動産投資との指摘もある。中国の習近平主席の強権主義でいつか粛清され、財産を没収される懸念もあり、高くても買うだろう。この場合、戸建てよりもマンションの方が管理しやすい。
6.投資物件の価値を高めるものとして、民泊も影響があるだろう。インバウンドブームに沸く日本で、マンションをホテルにすれば利益がある。ただし、これまで住んでいる人にとっては迷惑であるため、規制や規則が厳しくなりつつある。
要するに、マンションと戸建ては、ある程度、別の商品であるため、価格の上がり方も異なるということである。しかし、人々が住むというニーズでは同じ商品である。それが人々の所得からかけ離れた価格付けになるのは望ましくない。
では、どうしたら良いのだろうか。その前に、過去の日本の不動産価格引き下げ政策に触れておきたい。
日本の過去の地価下げ政策の顛末
実は日本は90年代に地価を下げることに成功した。もちろん、マンション価格の引き下げにも成功した。しかし、それは所得を下げることによってだった。
80年代まで順調に伸びていた名目GDPは、それ以降低迷している。日本全体の所得を低迷させることによって地価を下げたのだ。
これは大失敗だった。最近の日本経済新聞にこの方法が賞賛されているのに驚いた(イェスパー・コール「エコノミスト360°視点 いま思い出す三重野康氏」日本経済新聞、2026年7月2日)。
地価上昇の問題とは、あくまでも自分の稼ぐフローの所得に比べて、地価だけが上昇していることだ。真面目に40年間働いても家が買えないのは不当だと多くの人が言うが、あくまでも、自分の所得との見合いで、正当か不当かを考えている。自分の所得が減って地価が下がっても少しも嬉しくない。
